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お兄様は甘くなかった その6

「貴様の目的は分かった。だが、一つ解せない」

「私の話に何か変なところがあった?」


全て説明したつもりであったが。

何を疑問に思う、シャーマナイト?


「貴様何故、東軍の連中を殺しまくっているのだ?」


何だ、そんな事か。


「何故って、西オリーバ国を今攻めているのは東軍の魔法第一旅団。だから、第一旅団を倒して第二旅団が出てこられるようにしているのだけど」

「そんな理由で、貴様は味方を殺しまくっているのか?!」

「元・味方。それに、東軍の魔法第一旅団なんて旅団長のハイサムスを含めて何の思い入れも無いし、全員死んだところで私には問題ない」

「問題ない……だと!? 元とは関係なく自分の国の人間を殺しておいてか!」


はぁ……やれやれ。

この際だ。

はっきり言ってやらないとな。


「あのさあ……。貴方、戦争舐めてない。これ、内戦なんだよ。味方だろうが敵だろうが、同胞を殺している事には変わりないの。弱い奴が死ぬだけ、分かる?」

「貴様の様に自分の都合だけで人を殺しまくっている奴の理屈など、分かってたまるか!」

「じゃあ、この戦争は何のために戦っているの?」

「私は貴族だ。だから、国のために戦う義務がある」

「呆れた。その国が何のために戦っているのかって聞いているの」

「そ、それは……」


そこで答えに詰まるか。

特に理由も考えず、何かのために人を殺す事の方が余程残酷だと思うがなあ、俺は。


「いい? 国だって自分たちの都合で争っているの。私が自分の都合で東軍の魔法兵を殺しまくっているのと同じ」

「……」

「だから、貴方も戦争で戦うならば自分のために戦いなさい。でないと、戦いに巻き込まれるだけで失い続ける事になるから」

「自分のために戦えだと?」

「妹を取り返したいんでしょう? だったら、そのために戦いなさい。でないと取り戻す事はできないよ」


同じ目的を持つもの同士だ。

可能ならばシャーマナイトとは協力したい。

だが、その本人が優柔不断では、協力どころか仲間割れが関の山である。


言う事は言った。

後はシャーマナイト本人次第だな。


「確かにな。妹一人守れないようでは、他の守りたいものも守れないか」

「それで、疑問は解けた?」

「そうだな。形はどうあれ、皆、己が為に戦っているわけか。そこから目を背けて、国のため民のためと責任を押し付けていた自分が恥ずかしい」

「分かってくれたならば、何より。それで、奇しくも同じ目的を持つもの同士協力しない?」

「同じ目的……? 貴様が元の体を取り戻す事はつまり、同時に我が妹オリッシュも元の体を取り戻せるという事か」


ここまで来て、協力はできないなんて言わないでくれよ。


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