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お兄様は甘くなかった その5

「貴様の目的は何だ!? 妹の体を乗っ取り、西軍に味方をして、いったい何がしたいのだ!?」

「別に……」

「ふざけているのか!」

「全部、成り行きで結果的にそうなっているだけ。だから理由なんてない」


俺だって好きでこの体と入れ替わったわけじゃない。

ふざけているとすれば、この入れ替わりの状況がそうだ。


「私の目的について話してもいい? きっと、貴方にも有益な事だと思うから」

「はぁ? 今さっき目的は無いと言ったばかりだろ?」

「それは、私がこの体と入れ替わった目的が無いという事」

「……続けろ」

「私の目的、それは元の体に戻る事。それだけ」


俺が元の体に戻りたい事を嘘偽りなく伝えた。

さて、シャーマナイトはどう出るか?


「つまり、貴様は我が妹オリッシュと体が入れ替わっていて、しかも、それが狙ってやった事ではなく不本意な結果であると……?」

「そういう事。理解が早くて助かる」

「成る程、我が妹と貴様の身に起こった事は理解した」


えらく素直に飲み込んだな。

もっとこう、信じるのに苦労すると思っていたのに拍子抜けだ。

この身に起こった俺ですら、最初は信じられなかったのに。


もしかして、何か心当たりでもあるのか……?

いや、シャーマナイトが何らかの原因に関わっているのなら、もっと早くに気付くはず。

考え過ぎだな。


「それで、貴様は何故自分の体のところに向かわない?」

「行けるわけないでしょ! 貴方みたいに空を飛んで移動できるわけでもない。それに、道中を私一人で東軍の連中を相手にしろって言うの!? 貴方だって、妹の体が傷ついたり死んだりしたら困らない?」

「わ、分かった。私の発言が軽率であった」


シャーマナイトの奴、少しは見直していたのに。

馬鹿には違い無かったのか。


「では、質問を変えよう。貴様は自分の体を取り戻すために何をするつもりだ?」

「さっきも言った通り、私の元の体は東軍の魔法第二旅団にあるの。だから、戦場に魔法第二旅団が出撃した時に手に入れるつもり」

「……手に入れる? 元に戻るではないのか?」

「二人が出会ったらはい元通りなんて上手く行くといいけど、そんな保障は何処にもない。だから、一旦捕まえて元に戻る方法をじっくり考えるしかないと思っている。そもそも、何で入れ替わっちゃったのかも分からないし」


この方法で納得してもらえただろうか?


「妹は具体的に誰の体に入っているんだ?」

「それを教えたら貴方、単身飛び出して東オリーバ国に突っ込んじゃうでしょ?」

「そうだ。それが一番手っ取り早い」

「それをやって、二人とも揃って生還できると思う? 元の体が死んでも私は困るし、私の正体にも関わる問題だから教えられない」

「くッ! 貴様が誰かも気になるが、駄目か」

「お互いの為にも、知らない方がいいと思うよ」


さて、これでシャーマナイトは私を殺せないし、無茶もできなくなったぞ。

次はどう出る?


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