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お兄様は甘くなかった その4

見られていたのか!


いや、それよりもずっと前から怪しまれていたのか……。

例え今日失敗しなかったとしても、バレるのは時間の問題。

火の魔法を使ってしまった事よりも、そっちの方がショックだ。


過保護なお兄様だと内心馬鹿にしていたのに……。

畜生、馬鹿なのは俺だ!

妹思いの気持ちに付け込んでいたつもりが、泳がされていただけだなんて。


どうする?

万に一つをかけて、何とか言い訳して乗り切るか!?

……いや、そんな段階ではないな、もはや。


二人っきりになりたいとは、こういう事だったのか。

今、俺はシャーマナイトから間違いなく敵として認識されている。

だが、それを周りに伝えなかったのは、その敵を連れ込んだ失態を隠したいからだ。


オリッシュの中身が偽者と分かったのならば、さっさと始末すればいい。

しかし、それをせずにあんな話をしたという事は、理由を知りたいからであろうな。

俺が何故西軍に協力するかを。


判断を急がず、今まで俺を殺さなかったのはいい選択だ。

今の俺を殺すにしても、体はシャーマナイトの妹オリッシュのもの。

実の妹の肉体を殺す事には間違いないからな。


俺は、こんなところで死ぬつもりはない。

そして、シャーマナイトも妹を助けたいだろう。

つまり、互いの利害は一致している。


ならば、まず俺がシャーマナイトに伝えなければならないのは、この事実。

俺がオリッシュの体を人質にしていると分かれば手を出せまい。

それどころか、これを理由に脅迫して何かと従わせることできるかもだ。


何れにせよ、最終手段は逃げる事。

シャーマナイトに出口を防がれていて可能性は低いので頼る事はできない。

しかし、チャンスがあるならば忘れないようにしよう。


俺は、第一声を放ち、シャーマナイトと会話を始める。


「最初にお伝えしなければいけない大切な事があります」

「何だ? 言ってみろ」

「この体は、貴方の妹オリッシュのものです」

「どういう事だ?!」

「殺してしまうと中身は二度と戻る事ができませんのでご注意ください」


これで、伝わっただろうか?

今のところ、シャーマナイトから殺気は感じられない。

とりあえず、最低限の身の安全は確保できたと思う。


「まあ、そういうだから。妹を取り戻したいなら、大人しく私の言う事を聞いて」

「妹は……オリッシュは今何処にいる?」

「東軍の魔法第二旅団。ただし、中身だけ。肉体は、貴方の目の前にあるのがそれ」

「何者なんだ貴様は!」

「誰だっていいじゃない。今大切なのは妹を取り返す事。そうでしょう、お・に・い・さ・ま」

「くッ!」


俺の正体が東軍の魔法第二旅団長アメイガスだというのは、できるだけ隠しておこう。

万が一にもシャーマナイトの奴が強硬策に出て、その結果俺の体が死んでしまっても困る。

なるべくならば慎重に行きたい。


とりあえず、対話を続けてみるか。


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