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戦闘狂 その9

ルガウの奴が足でファイアボールの魔法を撃つ隙を与えなければいい。

そう考えた俺は、ウィンドカッターの魔法をルガウ相手に使った。


「おおっと、ここで苦し紛れの攻撃か!?」


ウィンドカッターの魔法に対し、ルガウはファイアボールの魔法を使ってこれを迎撃して相殺する。


続いて奴が近づいてくるが、その都度オリッシュはウィンドカッターの魔法を撃つ。

すると、ルガウは手でファイアボールの魔法を使って対処するのだが……。

その度に足の加速が止まってしまっているのが分かる。


どうやら、俺の読み通り、奴は手と足で同時に魔法を使えないみたいだな。


「どうしたの? 動きが鈍くなったみたいだけど」

「てめえ……おちょくってんのか!」


言葉に余裕が無くなっているな。

もう少しやり合えば、奴に攻撃を当てる隙もできるかもしれない。


俺はそう思っていたが、このままでは消耗戦で負けると奴は悟ったのだろう。

ルガウは一気に勝負をつけようとしてきた。


「そろそろ、決着をつけようぜ」


ルガウがフレイムウォールの魔法を使う。

だだっ広い炎の壁が出現し、それがオリッシュの方へと向かってくる。


やれやれ。

これをオリッシュの体で対処するのも何度目か?


「破ァ!」


オリッシュは、バトルサイズを上から下へと振り下ろす。

そして、縦一直線の大きな風の刃を出現させた。


炎の壁は風の刃に切り裂かれ、縦に二つに割れる。

これでフレイムウォールの魔法自体は回避できるが……。

問題はルガウの奴が次に何をやってくるかだ。


「ヒャッハー! 終わりにしようか!!」


炎の壁の裂け目から、奴が現れた。

ルガウがこちらに向かって勢いよく飛び込んでくる。


馬鹿な!

この位置という事は、風の刃が直撃している筈!?


見ると、ルガウはやはり攻撃が直撃しているのかボロボロ。

炎を壁で減衰された分、ルガウ本人が真っ二つになるには至らなかったようだが……。

ダメージは確実に受けている。


駄目だ!

今からでは回避が間に合わない

肉を切らせて骨を断つ……捨て身の攻撃というわけか。


くそッ!

ここまでか。


「焼け死ね!!」


ルガウのヘルファイアの魔法が……地獄の業火が……今にも直撃する。


──仕方ない。


俺はフレイムウォールの魔法を使い、寸でのところでヘルファイアの魔法を防ぐ。

そして、炎の壁で焼かれながらも向かって来るルガウをバトルサイズで串刺しにした。


「ば、馬鹿な……」


信じられないという表情をするルガウ。

だが、俺は無言でウィンドカッターを魔法を使い、止めを刺す。


バラバラになる人体。

飛び散る鮮血。

風の刃で細切れになり、奴はもう……動かなくなった。




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