戦闘狂 その8
俺は、オリッシュの体でバトルサイズを一振りし、ウィンドカッターの魔法を使う。
そして、生み出さた風の刃の群れを飛んでくる火球の群れに衝突させる。
これで、ルガウの奴も少しは満足するだろうか?
「へへっ、ようやく動いたな! 流石にあの数は怖かったか?」
「……何とでもいいなさい」
「つれないなあ」
「どうせ当たらないんだし、もう諦めたら?」
「なんだと!」
ムキになったのか、またもやルガウがファイアボールの魔法を連射する。
オリッシュは先程と同じようにウィンドカッターの魔法でそれを迎撃する……が。
先程と少しばかりルガウの様子が違うな?
「馬鹿め、死ねェ!」
掛け声と共にルガウの奴が突っ込んで来る。
もう少し慎重にやれば不意打ちとしても形になっただろうが。
雑な上に相手が俺ではなあ。
オリッシュはギリギリのタイミングで後退して、これを避ける。
相も変わらず、ルガウはヘルファイアの魔法を発動させるが。
──やはり当たらない。
「ちぃぃぃぃ、これを避けるのかよ」
「もしかして、あれで不意打ちのつもりだったの?」
「う、うるせえなあ!」
さっきから五月蠅いのはお前の方だろうが。
「ちょこまかと避けやがって。だったら俺もスピードアップしてやる!」
──何をする気だ?
オリッシュの体は風の魔法エフェクトゲイルを使ってスピードアップしている。
しかし、火の魔法でそこまでのものは無いはず。
無知ゆえに適当な事を言っているのか、あるいは……。
「っしゃァー、行くぜー!」
掛け声と共にルガウが飛び込んで来る。
だが、これまでよりか速い!
俺はエフェクトゲイルの力を信じて全速力で回避動作を行う。
相手も速い!
だが、俺も追いつかれれば一巻の終わりである。
「ヒーハー!」
地獄の業火の熱波がオリッシュを僅かにかする。
少し熱い気もしたが、攻撃そのものは何とか回避。
今日一番に危なかったが、風の方が速かった。
おのれ、何をしやがった!?
逃げ続けながらルガウの方を確認する。
すると、奴は足裏から火を噴き出しながら飛んでいる様に見えた。
何だこれは!?
こんな火の魔法は知らないし、知っていても使いたくはない。
そして例の如く、やはり足の裏が熱そうだ。
「よしッ! 今のはいい線行ってたな。次こそは!」
冗談じゃない!
このまま、これが続けば万が一って事も……。
とりあえず、奴の動きさえ何とかできれば。
ルガウの足止めさえできれば。
足から出ている火を……。
ん?
もしかして、奴の足から出ている炎。
ありゃ、ファイアボールの魔法じゃないか?
成る程。
足から魔法を放出した勢いで加速しているのだな。
ならば、これでどうだろうか?




