敵軍と最弱女魔法使いと体が入れ替わる!? その5
「ハーモレイク様、大切なお話があります。少しお耳をお貸しできませんか?」
駄目元で俺はこう言ってみた。
何とかしてハーモレイクと二人きりにならなければ。
そして、その間誰にも見られずに奴を殺さねば。
「どうした? 自分から言い辛い事なら私が代弁してやるぞ」
そう言って、ハーモレイクはニヤニヤしながら口前に耳を近づける。
成る程、そう来るなら他の奴に聞かれたらまずい事を言うまでだ。
「ハイサムス・ソードとの密約の件で東軍から伝言があります」
他の人間に聞こえない程の小声でハーモレイクにそう伝える。
すると、奴の顔が見る見るうちに真っ青になった。
ハイサムスとはハーモレイクが密約を結んだ東軍の魔法第一旅団長の名前。
今この場で西軍への裏切りがバレれば奴も終わりだ。
本来この場に出てくる筈の無い名前を聞いて相当焦っているに違いない。
だが、公表するのは最後の手段だ。
迂闊に公表すれば、それと同時に俺の正体がバレる。
だがら、できる事ならば俺が秘密裏にハーモレイクを殺したい。
「わ、分かった。ふ、二人きりで話そうではないか」
よし!
これで、二人きりになれる!!
「おい! 妹を何処に連れ出す気だ!? まだ動かせる状態じゃない!」
「大丈夫です、お兄様。もう十分寝ましたので、心配いりません」
ここでシャーマナイトに邪魔されるわけにはいかない。
また後日なんて事になったら、その間にハーモレイクから刺客を送られる。
だから、殺るなら今がベストだ。
何としても、まずは立ち上がらなければ。
と、俺はベッドから立ち上がる。
女の体だと意識すれば、大分体が言う事を聞くようになった。
だが、そう思った矢先。
俺はふらついてしまう。
しかし、何とかハーモレイクの体にしがみつき、転ぶ事だけは避けた。
「だから、まだ寝てなきゃ駄目だと言っただろ!」
「大丈夫です! ハーモレイク様、エスコートして頂けないでしょうか?」
俺は、胸をハーモレイクの左腕に押し付けながら誘ってみる。
どうせ、俺じゃない女の胸だ。
死ぬ前に好きなだけ堪能しやがれ。
「す、少しなら大丈夫でしょう。手短に済ませるから心配ない」
「待て、ハーモレイク!」
「そんなに心配しないでください、お兄様。さあ、行きましょうか」
俺は、オリッシュの体でハーモレイクの左腕にしがみつきながら歩く。
今ここで止められたら困るんだよ、お兄様!
妹を過保護にするのも大概にしろ!
ハーモレイクもシャーマナイトの静止を振り切って歩く。
よし、いいぞ。
このまま二人っきりになれる場所に連れ出してくれ。