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恋する分家の令嬢 その4

何とか活路を開こうと、俺はこう聞いてみた。


「サーフェス様を婿に迎え入れるってのはできないの?」

「何、馬鹿な事を言っているの?! サーフェス様は戦士御三家の次期当主。そんな事をしようとしたら周り全員が敵になってしまうじゃない!」


イライラしつつも呆れた感じでイリーヴァはそう答えた。


戦士御三家ねえ。

魔法御三家に比べてあまりにも地味だからな。

今の今まで存在すら忘れていた。


要はまあ、分家として政略結婚する分には相互利益。

しかし、そうでないならば周りが許さないというわけか。

困った話だ。


こうなると、イリーヴァがサーフェスと結婚するには、彼女に家を捨てさせるしかない。


そう簡単に決心の付く事ではないが……。

とりあえず、やってみるしかないか。


「イリーヴァ、貴女のサーフェス様への思いはそんなものなの!!」

「だって……仕方ないじゃない! 私が本家を継がないといけなくなったんだし」

「それがどうしたの! 本家なんて貴女が結婚して、子供を二人以上産んで、その子に継いでもらえばいいじゃない!」


とりあえず、言うだけ言ってみた。

これで決心するかどうかの見込みは正直無い。

だが、イリーヴァがサーフェスの事を諦めきれないなら、あるいは……。


「オリッシュ……貴女、戦場に出てすっかり変わってしまったのね」

「!!」


イリーヴァが顔を神妙なものに変化させ、そう言った。


しまった!!

いささか前のめりになり過ぎたか!?


「以前はあんなに戦いに消極的だったのに、今日の貴女は……」

「……」

「私、本当は怖かった。今日だってサーフェス様を助けるのに無我夢中だったから何とかなった。だけど……」

「だけど……?」

「私もオリッシュみたいに変わってしまうのかな……?」


──そういう事か。

無駄に脅かしやがって。


今日の事を思い出したのか、イリーヴァは何だか怖がっている様にも見える。


まあ、誰しも初めてはそんなもんだ。

ここは優しく接しておくか。


「初めては誰でも怖いから……そういうもの」

「そういう事じゃなくて」

「私は恐怖を克服して吹っ切れただけ。変わってしまった様に見えるかもしれないけれど、今まで怖くてできなかった事を勇気を出して行えるようになっただけで、私は私」

「そう……なの……?」

「だから、イリーヴァも今は怖いかもしれないけれど、勇気を持って一歩踏み出せばきっと……」


上手く繋げられたか……?

変わっていないなんて真っ赤な嘘。

本当は中身がごっそり変わっているのだからな。


入れ替わってしまった体の方は上手くやっているだろうか?

少なくとも色恋沙汰に巻き込まれるような歳ではないが……。

今は無事でいてくれる事を祈るしかないのが辛い。


「そう……オリッシュはオリッシュなのね。でも、どうして私にそんなに優しくしてくれるの……?」


疑う様にイリーヴァは質問してきた。


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