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恋する分家の令嬢 その3

「本家を継ぐって、どういう事?」


俺は正当法でイリーヴァに聞いてみる。

別に隠すような事でも無いと思ったからだ。

素直に答えてくれるとよいのだが。


「本家を継ぐはずだったハーモレイクが急死しちゃったせい! そうしたら、何でか分家の私にそういう話が来たの!」


げーっ!

俺のせいなのか!?

仕方なかったとはいえ、俺がハーモレイクを殺してしまったばっかりに。


……って、それだけじゃあ意味が分からん。

本家を継ぐから何だというのだ?

むしろ、分家から本家に行くなら出世なのでは?


しかし、イリーヴァは怒りの感情を露わにしている。

何かあるのだろうな。


「それで、何が不満……なの?」

「不満に決まっているじゃない! 本家の当主になるって事は、嫁入りできなくなるって事!」


嫁入り……?

ああ、成る程。

当主って事は、家を出るわけにはいかないから婿を取るしかないのか。


「それじゃあ……イリーヴァ……」

「サーフェス様と私が結婚するのは無理って事! よかったじゃない、オリッシュ。ライバルが一人減って!」


最悪だ!

オリッシュ本人もがっつり絡んでいるのかよ、この案件。

イリーヴァに目を付けられたんじゃなく、真っ向から対立していたわけか。


加えて、イリーヴァ本人はサーフェスと付き合う事を殆ど諦めていると。

これじゃあ、サーフェスはどの道オリッシュに絡むしかない。

しかも、その度にイリーヴァが嫉妬の念をオリッシュに対して抱くことに。


うーん、何とかしてイリーヴァが嫁げるようになるといいんだが。

もしくは、本人が強引に実家を捨てて嫁ぐ気になるかだ。


「それでサーフェス様を諦めるの!? 本家の当主なんて他にやりたい人くらいいるでしょ?」

「私も、当主として相応しくないと判断されれば何とか断れると思った。けど、今日の戦であんなに結果を出してしまったら、もう……」


ああ、だから本来喜ぶべきところで落ち込んでいたのか。

この戦争で活躍すればするほど当主として認められるから逃げられないと。

確かに、今日のイリーヴァの働きは素晴らしかったからなあ。


これだけ優秀ならば、周りの人間もイリーヴァを本家の当主にしたくもなるか。

だが、それは同時にイリーヴァが逃げ場を失っているという事でもある。

うーん、難しい。


「ああっ、どうしてこんな事に。私はただ、サーフェス様の役に立ちたくて頑張って魔法の修行をしていただけなのに」


努力が裏目に出てしまうとは……。

何とも皮肉な話だ。


しかし、このままでは俺も困る。

とはいえ、俺にはイリーヴァを取り巻く貴族連中を説得するなんてのは無理だ。


となると、答えは一つ。

イリーヴァ本人に無理やりでもサーフェスと付き合ってもらうしかない。


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