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援軍 その2

さて、今日はどうするか?


シャーマナイトにはああ言ったが……。

できれば貴族の連中には会いたくないなあ。


だが、今日にもまた東軍の連中が攻めてくる可能性が高い。

戦いが始まれば嫌でも顔を合わせる事にはなるだろう。


特に、上司になる新しい魔法第一旅団長の方にはな。


とりあえず、戦の時以外は極力シャーマナイトの部屋に閉じこもっているべきか?

いや、ダメだな。

貴族連中が魔法師団長のシャーマナイトに挨拶しないわけがない。


このまま、この部屋にいては危ない……か。

連中が到着すれば、この砦で一番偉いシャーマナイトに挨拶しに来る。

その前に、さっさと部屋を出て適当に訓練でもしていよう。




俺は、昨日から洗っていない血染めのローブを着たまま部屋を出た。

このローブが奇麗なままならば、顔を知らなくても一目で貴族だとバレるだろう。

だが、これだけ血に染まって汚れているならば、かえって貴族だとは誰も思わない。


昨日の戦いがあってから一夜過ぎた今日だ。

砦内はきっと緊張しているだろう。


──そう思っていたのだが、どうやら違うみたいである。


「あっ、オリッシュ様!」

「あ、あれが噂の東軍をたった一人で殲滅した証か!?」

「敵の返り血だけでローブを真っ赤に染めたという……正に『鮮血の魔女』だ!」

「これなら、私たち勝てるかもしれない!」


何か知らんが、えらい騒ぎようだな。

昨日のオリッシュの活躍が西軍の兵士たちの士気を高めてしまったわけか。

余程嬉しかったのか、本人を目の前にしてこれだ。


──それにしても。

何だ、鮮血の魔女とかいうふざけた称号は?

もうちょっと、何かあるだろうに。


しかし、少々浮かれ過ぎではないか?

大した事のない一個大隊を退けた程度で。

いったい、今まで何をやっていたんだ、こいつらは……。


──俺のせいだった。

正確には、俺が東軍のアメイガスとして戦争で数々の戦果を得たからである。

ほぼアメイガス一人に度々負けているせいだ。


それが、今になってアメイガスが突然消えたのだ。

その上、新たに現れたオリッシュが逆に一人で東軍を打ち負かしている。

連中にとってオリッシュは正に救世主なのだろう。


仕方が無いとはいえ、今はまだ浮かれるには早い時期だ。

ここは一つ、喝を入れた方がいいか。

元の体に戻れる保証がない現段階では、俺も今西軍に負けてもらっては困るからな。


「静まりなさい!」


オリッシュの一声で、周りのざわめきが止まる。


「いいですか? 昨日倒したのは東軍の本隊ではありません。そして、今日にもまた東軍は攻めてきます。きっと、昨日よりも多くの部隊・人数でやってくるでしょう。だから皆さん、どうか気を引き締めてください」


とりあえず、こんなものでいいだろうか?

とにかく、今は喜ぶにはまだ早い……。


「あらあら、師団長のお兄さんの威光を借りて将軍ごっこですか?」


何者かが、いきなり水を差してきた。


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