敵軍と最弱女魔法使いと体が入れ替わる!? その3
気が付くと、俺はベッドに寝かされている様だった。
「ここ……は……?」
俺はベッドから起き上がろうとした。
「いけません! まだ寝ていてください!」
近くにいた看護の女性がその姿に気付き、俺をベッドに戻す。
「オリッシュ様が目を覚まされました! シャーマナイト様に連絡を!!」
周りが慌ただしくなる。
そうした中、俺がベッドで寝ていると誰かがやって来た。
医者らしき男、そして先ほど俺を連れ去った男だ。
「オリッシュ! よかった、目を覚まして!」
現れた西軍の将軍は、何故か俺の事をオリッシュと呼ぶ。
もしかして、俺は夢でも見ているのか?
俺は東軍の魔法第二旅団の長アメイガスだぞ?
「どうしたオリッシュ? まさか兄の顔を忘れたのか!?」
西軍の将軍が俺の眼前に迫って来る。
正直気持ち悪い。
こいつ、何を考えているんだ!?
敵の将軍が俺の前で奇行を行っていると、医者らしき男が進言してきた。
「シャーマナイト様、申し上げにくいのですが妹君は一時的な記憶喪失かもしれません」
「記憶喪失!?」
「はい。戦場で過度のストレスを受けた結果のものです。何、一時的なものですから、少し眠ればすぐにでも回復するでしょう」
妹君?
今、あの医者が言った妹というのは、会話の流れ的に俺の事か!?
俺は敵将の妹になった夢でも見ているのか!?
だが、夢から覚めようと意識しても覚める事はなかった。
残念ながら、これは現実の様だ。
悪夢だ……いや、夢なら覚めるはずだから悪夢ですらない。
俺は今、どんな姿をしているのだ!?
「鏡を……鏡を持ってきてください……」
「大丈夫だ、オリッシュ。顔に傷は無い。おい、誰か手鏡を持ってこい!」
今の姿を見るために、俺は鏡を要求する。
数分経過したところで、看護の女性が手鏡を持ってきた。
「ほら、オリッシュ。顔に傷など無いだろう?」
兄と名乗る敵将が、手鏡を持って俺に見せてくれる。
鏡に映った俺のその姿は、歳が二十歳前後の女性のものだった。
「これが……私?」
「どうしたオリッシュ? やはり記憶が無いのか?」
そういえば、さっきの医者が一時的な記憶喪失云々言っていたなあ。
よし、ここはバレない様に記憶喪失の演技をしておくか。
「私……何も思い出せない。オリッシュ? それが私の名前なのですか?」
「そうだオリッシュ。もしかして、この兄の事も思い出せないのか?」
「あなたが……私のお兄様……なのですか?」
「そうだ。私がお前の兄、シャーマナイト・ジュエルだ」