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初陣 その5

オリッシュ一人に敵わないと判断したのか、東軍の連中は次々と後退し始める。

元々が砦を攻め落とす様な人数ではなかったからな。

無理に踏み止まる必要も無いのだろう。


だが、それでも撤退までには達していない。

やはり、隊長格を倒す必要がありそうだが……。

もうそろそろ出てきてくれないだろうか?


「何事だ!?」

「た、隊長! 手に負えないのが一人いて」

「分かった、私が相手をする。お前たちはその隙に撤退しろ!」

「は、はい!」


なるほど、あいつが隊長か。

見た事がない顔だな。

だが、同じ東軍でも魔法第二旅団以外の人間は殆ど知らないので珍しい事でもない。


「私の部下を随分と殺してくれたな」


隊長と思われる人物がオリッシュに話しかけてきた。

戦闘の構えこそ解いていないが、交渉でもしたいのだろうか?

俺も別に皆殺しが目的というわけでもないし、話くらいは聞いてみるのもいい。


とりあえず、言葉を返してみるか。


「貴方は逃げなくてよいのですか? 今回は殲滅が目的ではないですし、逃げたいのなら逃がしてあげますよ?」

「この砦はハーモレイクが守っていると聞いていたが、貴様は何者だ? 一般兵にしても奴の部下にしても強過ぎる」


成る程、何となく読めてきたぞ。

ハイサムスの奴、密約を結んでいたハーモレイクがまだ生きていると思っているんだな。

それで、侵攻するのを数日間遅らせていたのか。


つまり、こいつらは連絡を寄越さないハーモレイクにハイサムスが痺れを切らした結果。

試しに部隊を送り込んでみてハーモレイクがどう出るかを確かめたかったと見た。

奴が既に死んでいるとも知らずにご苦労な事だ。


できれば、もう少し情報を引き出したいが、上手く行くだろうか?


「私はオリッシュ・ジュエル。西軍魔法師団長シャーマナイト・ジュエルの妹にして、魔法御三家の一つ、ジュエル家の出身です」

「魔法御三家だと!?」

「怖気づきましたか? ちなみに、貴方は名乗らなくていいですよ。どうせ、ここで死ぬのですから」

「ふざけるな!」


できれば、ハイサムスを引きずり出すための駒として生かしたいのだけどな。


「この程度の部隊で砦を攻略できると思っていたなんて、ハイサムス魔法第一旅団長はとんだ無能ですね。アメイガス魔法第二旅団長に任せた方がよかったのではないですか?」

「とぼけるな! アメイガス様を倒したのは貴様等だろうに」

「あらあら、そうでしたか? 復活できるといいですねえ」

「心配しなくていい。アメイガス様が復活する頃には、お前たちはハイサムス様に倒されている」


威勢のいい奴だ。

実力もそれに伴っていればいいのだがな。


まあとりあえず、アメイガスの体が復活可能である事が分かってよかった。


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