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風の魔法 その6

メイドのレゾナはオリッシュの荷物袋から風の魔法の書を取り出した。


「どうぞ、オリッシュ様」


俺は魔法の書を受け取りページをめくり始める。

ええい、高等魔法は今は無理だ。

とにかく、一番基礎となる魔法のページを探さなければ。


オリッシュの兄シャーマナイトとメイドのレゾナが不思議そうにこちらを見る。

魔法の書なんか取り出して何をするのかと言わんばかりだ。

まあ、当然の反応だな。


「魔法が使えれば……いいのですよね?」

「……? 何の事だ?」

「お兄様は今朝約束してくださいました。私が魔法を使えるのならば、ここに残ってよいと」

「えっ……ああ、そんな事も言ったかな?」

「今なら魔法が使える……そんな気がするのです」

「そうか。ならば、やってみるといい」


俺は急いで魔法の書から使えそうな魔法を探す。

幸いにして俺の東オリーバ国も敵の西オリーバ国も同じ言語だ。

書いてある内容はすんなり理解できる。


これだ!


ウィンドカッター。

風の基本攻撃魔法で、真空の刃で相手を斬る効果。

戦場では幾度となく相手にしてきた基本にして恐ろしい魔法である。


「今からウィンドカッターを使います」

「わかったわかった。この兄に向って撃ってみなさい」


ば、馬鹿にしているのか!?

至近距離で受けるには危険過ぎる魔法だぞ!!


……いや、このオリッシュとかいう女は魔法が使えないのだったな。

この様子だと、頑張っても微風程度しか出せないと思っているのだろう。


魔法の基礎技術は火だろうが風だろうが同じ。

本で読んだ通りにやれば上手く行くだろう。

だが、初めてなので加減ができるかどうかは分からない。


昨日の今日で敵軍の要人を二人も暗殺。

なんて事になっても知らないからな。


「では、行きます!」


俺はオリッシュの体を使い、右手を振りながらウィンドカッターを使った。

本来ならば杖となる何らかの道具があれば制御も上手くでき、威力も増す。

だが、今は素手でやってみるしかない。


5つ、いや7つもの真空の刃が飛び出しシャーマナイトへと勢いよく襲い掛かる。

魔法の威力で部屋の埃は舞い、机の上に置いてあった書類の紙も飛ぶ。

おかげで、目の前がどうなったか一瞬分からなかった。


あー、こりゃ死んだかもな。


残念だ。

敵の将軍の死因が妹に対して舐めてかかったからなんて。


「ひ、ひぃ……」


メイドのレゾナが驚きのあまりに声にならない弱弱しい悲鳴を上げる。

見たところ腰を抜かしていて、とても立てそうにはないな。


さて、やってしまった事は仕方ない。


これからどうやって戦場に戻るか?

そして、アメイガス魔法第二旅団長である俺の体のところにまで到達するか?

何とか考えなければ。


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