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風の魔法 その5

俺はメイドのレゾナと一緒に病室を出る事にした。

その途中で医者らしき男がいたので一応挨拶をする。


「お世話になりました」

「い、いえ、滅相も無い。いや、今は貴族といえど一兵卒でしたか。その言葉、有難く頂戴致します」


そんなに畏まらなくても……。

いや、貴族がそういう挨拶をしたのがまずかったか?


「オリッシュ様、急ぎましょう」

「え、ええ。それでは」


メイドのレゾナに急かされて、その場を去った。


「オリッシュ様、こんな血生臭い場所からはもう撤退するのですから……その……」

「ど、どうかしたのですか?」

「どうかしたではありません。ちゃんと、貴族として振舞ってください」

「わ、わかりました」


なるほどなあ。

平民の出の俺には分からないことも多いな。

以後、気を付けねば。


だが、ともかく今は急がなければいけないらしい。

俺は、メイドのレゾナに道順を教えられながら砦内の道を進む。

考えている余裕は無さそうだ。


「ここがシャーマナイト様の部屋です」


成る程。

ここがシャーマナイト師団長様の指令室ってわけか。

前線基地で悠長にこんな部屋を用意しているようでは西軍の未来は暗いな。


「案内ありが……ご、ごほん。では、参りましょう」


俺は部屋の扉をノックする。


「お兄様、オリッシュです」

「おお、来たか。入ってくれ」


俺はメイドをレゾナを連れて部屋へと入った。


シャーマナイトは部屋の奥にある机で書類らしき物を書いている。

部屋手前には来客が座る椅子とテーブルがあり、応接室の様になっていた。


貴族は戦場にこんなものを作らせるのか。

全く、呆れたものだ。


「お忙しそうですが、待ちましょうか?」

「ハーモレイクが死んだせいで色々と報告書を書かなければいけなくてな。だが、オリッシュが優先だ」


そうか。

俺がハーモレイクを暗殺してしまったせいでの事後処理なのか。

敵将も色々と大変そうだな。


「それで、何か?」

「喜べオリッシュ。この戦場から帰還できるぞ」


やはりその話か。

だが、今朝からの今で随分と急だな。


「この現場を指揮していたハーモレイクが死んだおかげだ。おかげで私が指揮権を掌握したので、事をスムーズに進める事ができた」


何だ、そういう事か。

軍での階級が違えど貴族間では融通の利かない事もあると。

仕方なかったとはいえ、俺もとんでもない事をしてしまったな。


いやいや、他人事の様に思っている場合じゃない。

今、俺はこの戦場を離れるわけにはいかないんだ。


「レゾナ、私の荷物から魔法の書を出して」

「えっ!? は、はい」


さて、これで何とかしなければ。


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