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風の魔法 その2

食事が終わる。

量は十二分にあったが、思ったより食べられなかった。

やはり女の体のせいだろうか?


「今日の昼までにはメイドのレゾナが到着するはずだ。そうしたら、着替え等をして兄の部屋まで来なさい」


──メイドか。

貴族ならメイドの一人や二人がいるのは分かる。

だが、流石に戦場にメイドを連れて来るなんて話は聞いた事がない。


貴族は基本的に自分の身の回りの世話は使用人にやらせる。

しかし、そのために戦場にメイドを用意したとは思えない。

ひょっとしてオリッシュを戦場から帰還させるための迎えが目的なのか?


「わかりました。しかし、メイド……ですか?」

「覚えていないだろうが、オリッシュ付きのメイドのレゾナだ」


御付きのメイドねえ……。

上手くやれば、そいつからオリッシュの情報を色々と引き出せるか。


「オリッシュが突然連れ去られて動揺していたからな。レゾナに会って安心させてやれ」

「ですが、私は……」

「分かっている。記憶が無い事については、この兄が前もって話しておく。嫌なら、無事な顔を見せるだけでいい」


突然連れ去るとか、ハーモレイクの奴はどんな無茶をしたんだ……?

貴族同士のいざこざはよく分からない。

しかし、不本意にもそれに巻き込まれてしまった俺はこんな目に……。


そもそも、何故体が入れ替わったのかがわからないのが一番怖い。

ハーモレイクが何か仕組んだのなら話が早かったのだがな。

残念ながら、昨日の奴の様子では見当違いの様だ。


「兄は自分の部屋に戻るが、一人でも大丈夫か?」

「何時までも子供扱いしないでください、お兄様」

「そうか。では、メイドのレゾナの事は頼んだぞ」


シャーマナイトが病室から出て行った。

これで少しは落ち着ける。


そう言えば、オリッシュの荷物が宿舎にあるとか言っていたな。

この砦の何処かが魔法兵用の宿舎になっているのだろう。

まずは、そこに魔法の書を取りに行かねば。


昨日ほぼ一日寝たおかげで体の方も十分回復しているはずだ。

今日はちゃんと歩けるだろう。

とりあえず、この病室を出て一歩前進と行くか。


──いや、待てよ?

俺はこの砦の詳細が分からない。

これじゃあ、宿舎どころかシャーマナイトの部屋にすら行けないじゃないか!


仕方がない、このままメイドのレゾナとやらが来るのを大人しく待つか。

メイドを案内するフリをすれば、砦内部を色々と歩き回っても怪しまれないだろうし。

本当は案内して欲しいくらいだが、彼女にそれができるとは思えないしな。

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