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お嬢様の生活12

「お母様。お話していた通り明日、この屋敷にてお茶会を開催いたします」


 暖色系の壁紙と色とりどりの花が飾られた居室。その中央に設置されたテーブルに座っている女性へ、シャルロットお嬢様が頭を下げました。


 プラチナブロンドの髪。エメラルドブルーの瞳とそれを引き立てる泣き黒子。

 シャルロットお嬢様の美しさの原点でもあるあの方は、お察しの通りアリア様でございます。


 人と関わることをあまり好まず、草木を愛でることを趣味とされているアリア様。シャルロットお嬢様の言葉に、柳眉を心配そうに垂れさせました。


「無理して社交界に出ようとしなくても良いのよ?社交界は猛獣の群れと何も変わらない。私はあなたが気を病まないか心配よ」


 静かな声で胸の内を話されました。お嬢様は毅然とした表情で笑顔を浮かべます。


「大丈夫ですよ、お母様。心配されるようなことは何も起こしません。どうか私を信じて、万事任せてくださいませんか?」


「……分かったわ。子の戦いを見守るのも親の務め。あなたを信じているわ。……イザベル」


 アリア様のお部屋の空気が、アリア様のお声と私の名前の響きで揺れたことに心がフィーバーします。

 熟練のメイドである私は、お辞儀をすることでニヤける顔を隠しました。


「シャルロットをお願いね」


「もちろんでございます。それが私の役目でございます」


 この日の夜はこの後の記憶がありません。

 喜びのあまり自分のベットの前で踊り狂ったような気もします。


 そしていよいよ、お茶会当日を迎えました。


 王宮のパーティーホールにも負けないくらい広い会場。そこに集まったご令嬢は120人。お茶会、というより宴会のような規模です。


 皆様、これから始まるパーティーに胸を弾ませ会場はざわついております。

 しかし、それもシャルロットお嬢様が姿を見せたことで波が引くように収まっていきました。流石です。


 本日のお嬢様は水色のドレスを身に纏い、髪を美しく優雅に結い上げております。いつも髪を下ろしているお嬢様の貴重なうなじが、後方につきそう私には眩しいです。


 所定の位置に着いたシャルロットお嬢様が、会場全体に響く声でお言葉を投げられました。


「本日は、私、シャルロット・レイブン主催のお茶会に足を運んでいただきありがとうございます。これは、国の貴族令嬢同士の親睦を深め、国家の団結力をさらに強める目的で開催いたしました。どうか皆様、思いのままにご歓談をお楽しみくださいませ。挨拶もそこそこに、ご一緒にお願いいたします」


 乾杯、とシャルロットお嬢様がグラスを掲げます。会場中の令嬢たちも一緒にグラスを上げ、お茶会の開始の合図をしました。


 女性特有のざわつきが再開されました。

 いよいよ女の戦いが始まったのです。



お茶会の模様は次回お送り致します。ここで切らないと長くなるので…

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