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第九話 生存

できるだけ毎日投稿していきます!

拙い文章ですが、よろしくお願いします!

それでは、お楽しみ下さいませ!

「……はぁ。疲れた」


 鬼ごっこを制した俺は一息つく。ゴブリンとオーガ。今回は相手が良かった。魔法とかぶっ放してくる相手だったらどうなっていたことやら。


 戦いに大事なのは強靭な精神力と知恵。それは間違いないのだが、やはりあのレベルのモンスターとやり合うには充実した武器と、あとは魔法が欲しい。


 武器や武具のほとんどは異世界に置いてきてしまったし、役に立ちそうな道具もほぼない。


 魔法が使えれば一瞬で決着がつく。力で劣る人間がモンスターに対して唯一優位に立つことができるのが、魔法だ。その威力は底知れない。敵をコンマ数秒で、しかも複数を魔力を消費するだけで打ち倒すことのできる魔法は人間の最大の武器といえる。


 しかし、この世界の人類のモンスターへの対抗手段は限られている。恐らくこれからは銃火器が戦いのメインだろう。魔法ほどではないが、モンスターへの有効な対抗手段だ。


「……それにしても、急にきたな」


『警報!警報!外出している人は直ちに避難して下さい!A区にモンスターの群れが出現!繰り返します!──』


 一体どこから誰が放送しているのか。大音量の警報が町中に響き渡った。そのあとに放送の内容通りモンスターの群れが現れた。


 ひとまず安心したことは警報を発動できるくらいの余力がまだ残っていたことだ。人類はまだ敗北していない。建物はめちゃくちゃに壊され、人影もなかったから「もしかしたら…」と悪い予感がしていたが、ちゃんと生存者は残っていた。


 まだ機能している組織が存在して、人が結束していることに間違いはない。とりあえず一安心だ。


「でも、一体どこから放送してるんだろう」


 もしかしたらどこかに避難所があるのかもしれない。そこにたくさんの人が集まって暮らしているのかも。そうであれば、街を周っても人に出会えなかったことに納得がいく。


 俺は立ち上がって身体の砂を払う。


「……とりあえず、今日は一旦戻ろう」


 刻々と色を濃くしていく夕焼けが地面を紅く照らす。モンスターの無惨な死体を隠すような影がかかってきた。


 とりあえず今日は一応の収穫もあった。捜索はまた明日再開すればいい。深追いはよくないからな。夜になると活発になるモンスターもいる。武器もなく、身体も疲労で鉛のように重たい今の俺では戦えない。安藤さんも疲れているだろう。すぐに帰還した方が良さそうだ。


 今日の冒険はここまで。俺はようやく学校に戻ることにした。



****


 時間はほんの少し遡る。異世界からの帰還者ーー四条涼夜がゴブリンと戦闘を繰り広げている時のことだ。


 とある軍事施設の一室。そこには精密機器が数多く設置されており、まるで人類の知の結晶を示すかのようだ。


 部屋の中はしんとしていた。パソコンから放たれるわずかな、ちりちりという小さな音とカタカタと速いタイピングの音だけが聞こえてくる。


 暗い部屋で明るく光るモニターの前に二人の人影がある。


「……おいおい、まじかよ」

「なんだこれ、CGか?」


 手元の黒い両手持ちリモコンを操作しながら二人の男性は目を丸くさせる。


 脳内に稲妻が走ったかのようにしびれて目の前の現実が受け入れられない。空いた口が塞がらず、瞬きするのも忘れて画面に映し出された一人の少年に釘付けになる。


 モニターにはドローンのカメラがリアルタイムで捉えている中継が映し出されている。上空から撮られているその映像は画質は少々荒く、揺れ動いているため見づらいものがあるが、それでも何が起きているかははっきり分かる。


 黒髪の学生制服を着た少年。高校生ぐらいだろうか。ただの細長い棒を手に持ってゴブリンの群を蹴散らしている。


 この二人の役目は出現したモンスター、今回の場合はゴブリンの観察。どこから現れ、どこに帰っていくのか。どのような特徴があり、どこに気をつけるべきで、どこが弱点なのか。


 そんな情報をドローンから観察することで収集しようとチェックしていたのだが、思いがけないものに遭遇した。


「もっと近づけるか?」

「り、りょーかい」


 モニターに映る謎の少年の姿がよりくっきり見える。軽い身のこなし。モンスターを前に一歩も引かず、ゴブリンの身体を次々と破壊していく。


 なんと恐ろしい光景か。二人は戦慄せざるを得なかった。血の気が引いて目の前の殺戮に身体が凍る。


「……こんなの人間じゃねぇだろ」

「でも、いや、間違いない」


 人型のモンスター?いや、違う。確実に人だ。しかし、信じられない。銃火器も無しにモンスターと武器一本でやり合うなんて。もし戦えたとしても、戦おうとするだろうか。


 少年の顔に恐怖は一切感じられない。


 むしろ、その顔は笑っているようにさえ思えた。


「……本部に連絡だ」

「……そうだな」


 10分にも満たない戦闘。残ったのは大量のゴブリンの無惨な死体。勝者はたった一人の少年。


 この後、この謎の少年がオーガとの死闘を繰り広げるとも知らず、モニターの前に座る男の一人が電話をかける。


「……こちら第五支部。緊急連絡があります──」


 この少年は一体何者か。


 希望か。あるいは──。

ここまでご覧頂き本当にありがとうございます!

お楽しみ頂けていたら幸いです!

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