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その令嬢、放り出す

本日二話目

 この世界にはレベルという概念が存在する。

 一番低いのがレベル1、そして上限は未だ明らかになっていない。

 しかし、現在きちんと見れるレベルでの最高レベルというのは100と言われている。


 そしてレベルを上げるためには戦わなくてはならない。

 この戦うというのは命の奪い合いという意味で、当然虫を殺すだけではレベルは上がらない。戦ってレベルが上がるのは動物、モンスター、あとは人である。


 モンスターは世界中に溢れている。それはダンジョンと呼ばれる場所から溢れ出るなどと言われているのだが詳しくは判明していない。


 つまり、レベルを上げやすい環境というのは命の危機が絶えず襲ってくる状況といえるだろう。


「楽しい楽しいレベル上げの時間ですよぉ〜」

『ぎゃぁぁぁぁぁぁ!』


 そんな命の危機が絶え間なく起こる場所、死の香りが漂うダンジョンにレイとそれに拉致されるような形で騎士科と魔法科の生徒たちは連れてこられていた。


 レイはターニャの助言通りに実戦を経験させてレベルを上げさせる事を決定したのだった。

 そして今いるダンジョンというのもステアノス家の前にあるものであり、騎士団のレベル上げにも使われているものであった。

 言わばステアノス家の私物である。


「お父様、ダンジョン貸して」

「ああ、いいよ」


 こんなやり取りがステアノス親子の間で行われていたのだが、どう見ても人の命がなくなるような場所の話をしているようには見えなかったというのはその場にいた使用人の話である。

 そんな場所にいきなり鎖で縛られて連れてこられた生徒たちは混乱の極みにあった。


「さ、レベル上げましょ?」


 まるで自分の庭にでもいるように(実際自分の家の領地内なのだが)レイが和かに笑いかけるのだが混乱は収まらない。


「ふっざけんなよ!」

「お家に帰してぇ!」


 落ち着くどころかさらに狂乱具合が酷くなる生徒達。涙を流しながらそんなことを言ってくる様子をレイは目を丸くして見ていた。


「そんな姿を第三者が見たらまるで私が誘拐してきたかのような物言いですよ?」

『誘拐してるだろが!』

「えぇ……」


 あまりに声をきっちりと揃えて言われたためレイは僅かに後ろへと後ずさった。

 しかし、すぐに目的を思い出し、握りこぶしを作ると自分を奮い立たせるように声をあげた。


「いえ、だめです。殿下の悩みを解決するためにも私も心を鬼にしなければ!今回私がすることはレベル上げ!すなわち、あなた方のレベルを30まで上げること。これはぜったいです」

「だったらもっと安全方法でも…… ほら! 狼とか豚とか狩ってさ!」


 貴族らしい生徒が安全策を言ってくるのだがそれをレイは首を振り否定する。

 まるで予想をしていた答えが返ってきたようなリアクションである。


「無理です。狼や豚なんかを狩っててはレベルなんてそうそう上がりません。私がすでに試しました。あとよく勘違いされがちですけど狩りをよくする人ほどレベルが上がりやすいという噂がありますがあれは嘘です」


 これは狩りを生業にしているハンターなどの人がよく生き物を狩っているからそう思われがちなのだが実際には違う。

 確かにレベルは上がる。だがなぜか動物よりモンスター、モンスターより人間と戦った方がレベルは上がりやすいというのが国が犯罪者などで実験した結果からわかっているのだ。


「でも死ぬかもしれないダンジョンなんて危険すぎます!」


 危険じゃないと訓練にならない気がするんですけど、等とレイは考えるのだがそれは口に出さなかった。

 ここで、やる気を削がれても困ると考えたからである。


「それも大丈夫です。死んでから五分以内なら私が蘇生させることができます。ガンガン突撃してくださって結構です」


 レイが親切心から言った言葉を噛み締めたのか生徒達は皆ゾンビのように顔を青白くしていた。

 その変化を自分の魔法が信用されていないと思ったのかレイは慌てて大丈夫ですと手を振る。


「五分以内なら大丈夫です! 五分超えるとゾンビとかになりますけど私が責任を持って駆除しますから!」

『どこに安心できる要素があるんだよ!』


 なぜかみんな声を揃えて抗議してきたことに

 あ、あれぇ⁇とレイは頭に疑問符を浮かべるのであった。


 こうして彼等はダンジョン内に放り出される羽目となったのだった。

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