1,そして僕は死んだ。
小学校の頃に考えた設定です。甘いところが多々あるとは思いますが、お付き合いいただければ幸いです。
この話以降の3話を大幅修正します。
人生はあっという間だ。
先生はいつもそう言って僕の頭を撫でていた。とても儚いもののように、そっと触れてくる手が心地良い。当時の僕は幼くて、その言葉に込められた優しさには気づけなかったけれど、ただ、これだけは理解していた。
自分は長くは生きられない。
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先生の言葉は本当だった。僕の一生は15年。本当に、あっという間に終わってしまった。
その日、僕は久しぶりに親友に会った。
冬休み明けの始業式。もうすぐ受験だというのに、いや、だからこそか、教室は賑わっていた。かくいう僕も少しワクワクしていた。みんなよりももっと長い間友人たちに会えていなかったから。
「おはよう」
僕が声をかけると、一瞬教室中が静かになり、
「優真!?」
誰かの一声でわっと囲まれてしまった。
「うっそ!?優真君!」
「うおおお!まじかよ、めっちゃ久しぶりぶりか!?」
「ちょ、通せって、おい!」
みんなそれぞれに話しかけてくる。こんなに賑やかなのが嬉しくて、入口の方で駄弁ってしまったが、後から来た奴もこの輪に入って来たから問題ないだろう。
別に、僕はクラスの中心人物でも、学校の人気者でもない。どちらかというと、動物園のパンダのような存在だ。
昔から病弱で、なにかと学校を休みがちになる僕は彼らにとっては低確率で発生するレアモンスター。因みに、レアアイテムのドロップは無い。今回も秋の不安定な気候にやられて、結局三ヶ月も病院暮らしになってしまった。毎日会いに来てくれる家族、たまに訪れる担任、恥ずかしいのか頻繁に訪れるくせに土産だけ置いていく親友等々のおかげで寂しくはなかったが、やっぱり学校に来れるのは嬉しかった。
件の親友は輪の後ろの方で頑張ってもがいているが、なかなか此処までたどり着けそうにない。そうこうしているうちに、担任が教室に入って来た。まあ、一緒に帰るのだろうし、また後で話せば良いか。
それを、ずっと後悔し続けるようになるとは、思いもしなかったけれど…。
宿題回収に諸連絡、その他の用事を済ませ、講堂へ向かう。その、短い道中のことだった。
なんだかやけに疲れる。階段を降りている時、ふと感じた違和感。それはただのきっかけでしかなかった。
全校生徒でぎゅうぎゅうになった講堂内は全員が座るスペースなどないので、立ったまま行われる。普通なら終わった後に足が少し痛くなる程度のこと。それほど体力を使うわけでもなく、これまでの集会は苦もなく終わっていた。
今回もそうなるはずだったのだ。そして親友の家に寄り道をしてから帰路につく。そんな久しぶりな日常を満喫するはずだった。
階段で感じた違和感はやがて胸のあたりを締め付け、息苦しさが動悸を早め、上がった熱が頭痛を引き起こす。息遣いが荒くなった僕に気づいた隣の生徒がさりげなく支えてくれているが、落ち着く気配もない。
何故。
先生はしばらくは大丈夫だと言った。
どうして。
退院を家族は心から喜んでくれた。
馬鹿な。
朝まではあんなに調子が良かったのに。
沢山の疑問が湧き出ては消えていく。
思考が朧げで、平衡感覚が狂っていく。
激しい喉の痛みに、気味の悪い音の咳が誘発される。
どうしようもなく喉が乾いて熱い。
周りが慌ただしい気がするが、音が聞こえない。
ふと口に当てた手を見た。何気なく、そう、ちょっとした“違和感”で。
それは床まで滴っていた。赤黒い、液体。
血だ。分かっている。だけど何故?
止まらない咳。溢れるように気管か食堂かを逆流する血。
定まらない意識の中、最後に自分を呼ぶ親友の声が聞こえた気がした。
◇
こうして僕の一生は呆気なく幕を閉じた。しかし、普通なら、自身の死を語ることなど出来ないはずだ。それが“私”には出来てしまっている。
その理由は、まあ、お察しの通りだろう。
私は早川優真という少年の記憶を引き継ぎ、別人として今を生きている。
そう、僕は転生した。
語り口調って、描いたことないからか、変な感じがします。
違和感を感じたり、誤字脱字、表現の間違いなど、気になったことは是非感想欄に!
出来るだけ書き直させていただきます!