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壊れた僕は悪魔と契約をする  作者: 庭城優静
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契約までの流れ、そして、成立。

「契約の前に、いくつか言っておくことがあるの」

 悪魔の発言に僕は頷く。

「申し訳ないのだけれど、この時代では私の力は十分に発揮出来ない」

「そうとは思えないけど・・・。」

「昔・・・貴方からしたら大昔のことでしょうけど、私達悪魔が頻繁にこの世界に現れた時と違い、人類は進化をしている。人としてのレベルは退化しているけど、生きていくための技術は目まぐるしく変化をしている。何かをすれば、直ぐに足がつく。非現実的な行動なら尚更ね。それ故に行動が縛られる」

「縛られる?」気になる単語に反応をする。

「暗黙の了解と言う言葉を知っているでしょ、私達は本来出会ってはいけないのよ。存在がバレてはいけない。今のご時世情報や噂なんてあっという間に広まる。私が大きな能力を使えば・・・わかるわよね」口角が上がる。

 悪魔は僕の瞳を凝視する。ここまで言えば貴方なら理解出来るでしょうと言わんばかりだった。目立つような願いは埒外だろう。

「それと、私の力は人間達の信仰心によって比例する。昔はすがるものがなかったから言わずもがな。今も・・・言わずもがな」肩を竦めてみせた。

「世間一般の人が思っているような大きな力は使えない。だから、行動が縛られてしまうと言う事でいいのかな?」

「ええ、察しが良くて助かるわ。まあ、そのお詫びに願い事を好きな数にしていいわ」

「別にそれは貴方の好きにしてもらって構わないけど・・・それに僕にそんな願い事がないとわかっているから、そのような事を提案しているのでは?」

 悪魔はフフと微笑を浮かべる、図星だったのだろうか。

「・・・解釈は任せる」悪魔は優しく囁く。

「質問をしたい。いいかな?」

 悪魔は先程のように何も言わずに手のひらを出す、どうぞということだろう。

「僕の願いを叶えた後、僕はどうなる?想像では貴方に魂を食べられるとか、地獄に落とされるとかそんな感じなんだけど・・・合っているのかな?」

「・・・詳しくは説明できないけれど、後者かな?この場合」

 少し言葉に覚束おぼつかなさがあった。悪魔のルールで言ってはいけないこともあるのだろう。僕はそう思った。

「契約というのは、give&takeだからね。私は『楽しませて』くれれば十分だから。その後の処置がどうなるかはその時にならないとわからない。・・・これでどう?」

「ああ、それでいいよ。」

 楽しませて欲しいか・・・悪魔の楽しさなんかわからないが、どうだっていい。今の僕にとっては願い事の代償だって本当は気にしてはいない。ちょっとした好奇心だけ残っているようだ。・・・そう好奇心だ。

 そう思ったとき、何もなかった願い事が一つ頭の中に出てきた。

「・・・願いが決まったよ。」

「あら?何かしら。楽しみだな」悪魔は白い八重歯を覗かせる。

「その前に貴方の名前は?」

「?・・・そうねぇ、哀里亜アリアでいいわ。敬語も使わなくていいわ」

「わかった、哀里亜。僕と一緒に暮らさないか?彼女の謎を解くまで。」

「え?」アリアは眼を丸くさせた。一瞬、悪魔ではなくただの綺麗な女性に見えたが、すぐに眼が元に戻る。

「・・・詳しく聞かせてもらえる?」口元に手をおく。

「僕が今どんな状態かわからないけど、もう人並みの生活はおくれないのはわかるんだ。実際、未練もないんだ。ただ、1つだけ気になっていることがあるんだ。」

「彼女・・・とは?」

「西之江真里亜。彼女は何がしたかったのか知りたい、それだけなんだ。それがわかれば後はどうでもいいかな。すぐにわからないと思うから、アリアに傍にいてもらえれば調べ易そうだしね。・・・悪魔の『楽しみ』って分からないけれど、こんな願いでどうかな?」

 

 アリアは僕の説明を聞くにつれ、白い歯を覗かせ仕舞には微笑を浮かべていた。そして、一言僕にこう告げた。

「契約成立ね」と。


 こうして、僕は悪魔と契約をすることとなった。

 



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