秘密結社ウロボロス
今日2話目です。
スクリーンにはでかでかと「なぜなに!?秘密結社ウロボロス 初級講座」と映し出されていた。そして研究員20号はポップコーンとコーラを差し出した。なぜに??と思いつつわたしは差し出されたものをすんなり受け取った。しかし、口がふさがってるのにどうやって食すのだろうと疑問に感じたが、とりあえず、のどが渇いていたので、コーラを飲もうとストローの先を口に近づけた。口を覆っていたタイツが自然に分かれストローをくわえることができた。ああっ、冷たい炭酸ののど越しはなんと心地よいものだろう。何か月も飲んでいなかったような気がして、しみじみと味わった。
すると今度はお腹がキュウと鳴り空腹を覚えて、ポップコーンを口に運んだ。これも先ほどと同様に口に近づけるとまたタイツは分かれポップコーンをほおばることができた。塩味で軽い食感。久しぶりに味のあるものを食べたという快感が全身を覆い、むさぼるように飲み食いした。そしてあっという間にポップコーンとコーラはなくなっていた。それを見た研究員20号は苦笑し、
「これを見終わったら、また何か違うものを食べさせてあげよう。」
と言った。そしてわたしは疑うことなくこの人はいい人だと思ってしまった。
研究員20号は映写をスタートさせた。バックには2匹が輪になって相食む蛇の文様が浮かび上がり、つらつらと図表や映像を交えて秘密結社ウロボロスの組織と活動の歴史が紹介されたものだった。
それを見ていたわたしは、かけたピースがはまっていくように忘れていた何かを思い出していた。いちいち説明するのも面倒なのでざっくり紹介すると、悪の組織は無数に存在し、それに対抗する為、国は民営のヒーロー集団を作り上げ、支援活動をしている。とりわけ歴史の古い秘密結社ウロボロスは傲慢なる人間から大地を取り戻し、地球を癒そうという大義名分を掲げた組織なのだ。なんと環境に良いことをしている組織なのだろう。そして組織は日本の中部地方を根城に活動している。環境破壊をしている建築物や会社を襲い、荒れた山々には植林をし、中部地方を緑の大地に戻そうとしていた。しかし最近はヒーロー軍団に作戦を阻まれ遅々として進まなくなっているのが現状だそうだ。
その為、秘密結社ウロボロスは組織拡充のための人材募集をし、わたしはそれに応じて見事に新たな戦闘員として採用されたのだそうだ。しかし、そのテスト中に事故が起こりわたしは不幸にも過去の記憶は失われてしまった、しかし、秘密結社ウロボロスの構成員は皆、支えあう家族であり、夢を共にする仲間なので、クヨクヨせず心機一転みんなと力を合わせて頑張ろうというものだった。
が、そうすると前に研究員20号がささやいた、嫌な記憶が消えて、云々といったセリフとの違和感に戸惑いを覚えた。そして、そのことがきっかけでこの話が胡散臭い話だと認識してしまっていた。しかしまぁ、逃げ出す気も起らず、過去の記憶が戻らないということで、しばらくはこの茶番に付き合わないといけないなぁと思ってしまった。ああっ、なんかウンザリする。