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とびらの縁者たち
溜め息など飽きてしまった。
肉親も遠親も、みな "憂鬱" という病を飼っていた。
脳に。
心に。
腹に。
喉に。
そういう家系らしかった。
とんだご迷惑ですわね、
男だか女だか明るくない義弟が、雨をささやく。
僕は相槌を打ってやったろうか。
打たなかったんじゃぁないの、忘れんぼさん
だって貴方は非道いひと
腹痛は叫ぶ。
扉をあけろ、扉をあけろ、扉をあけろ、扉を
どうか、どうか、申し上げますわ。
右側面に比べ、質素で単調の左壁に手を滑らせた。
壁には蝶がとんでいる。
筆圧の弱い、よわい、鉛の蝶。
扉のすきまに挟んだ蝶。
養女の妹は泣いた。
呪縛が彼女の才能で、彼女の矛と盾を成す。
其れで僕らを刺して撲っては、正義を知った。
僕は目前の室に踵を向けた。
此処に居ては、喉が潰れる
蝶のりんぷんが滴る扉を、体で開ける。
またにげた。