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さいていの果肉  作者: マヲ
美鬱の家
2/4

彷彿の廊下

そこは家だった。







明るく、愛らしく、クラシカルな洋式の屋敷



それでいて、



どこか陰鬱で、あたかも惨劇と悲劇を繰り返した面の館。




廊下の壁々に陳列する、素晴らしき絵画達を剥がしたならば


きっと悪夢の痕が聖歌を謳うのでしょう!




まァ それは佳い(よい)として、




外はどうやら白昼のようだ。




夜でなければ、地下でなければ、


照明は穏やかに闇と共存しないだろう。



つまりは、照明が煌々とし過ぎている。




軋む眼を細め、廊下のながれる先を睨んだ。




まさに無機物、と褒めたいほど冷徹な扉は、



見覚えがあった。




1つだけ着いた、亀裂。




そこから、また 雨が溢れ て、きそうに見えるんだ。





【 n rse y 】、と掠れ錆びたルームプレートが恨めしそうに僕を視る




ああ、なんだったかな、この(へや)





追憶しそうになると同時に、この廊下が酷く過去のものに思えた。



壁紙は裂け、


絵画は劣化し、


花は枯れた。




果肉のように厚く、みずみずしい花弁。



いつも生気を養って、我らに酸素を与えた。





瓶が爪先にぶつかる。


空だが、想いの詰まった瓶は、泥に汚れていた。





乾いた泥の空瓶には、草原に居たままのシロツメクサが横たわる。



たおやかな緑の茎は、変に癖がついていて、


それが、花冠をつくるのに苦戦しただろう事を証明していた。




誰に贈ろうとしたのだろう。


その無垢な呪詛を。

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