第6話、2階
階段も大理石で化粧されている。その上にカーペットが被せられているのだが、何のカーペットかはわからない。
「カーペットって、なにでできているんですか」
私は、先導をしてくれているワズに聞いた。
「これは、ラシという動物の毛ね。そちらでは、羊が一番近いかもしれないわ。ラシの毛を特に、羊毛とこちらでいうこともあるから。どうやら、そちらの世界からもたらされたもののようね」
ふむふむと言いつつ、私は階段を上がっていく。
2階は、1階よりは静かだった。窓口も少ない。ローン、金融相談、奨学金の窓口も、ここにあるらしい。窓口には、それぞれ英語で書かれていた。
「2階には、下のフロアにはないものが一揃い揃っているわ。特に、25万以上のお引き出しは、ここでないとできないの。国以外の口座へとご入金する際に、25万以上、一度にする際も、ここになるわ」
ワズが指さした先には、高額窓口というのがある。その横にローン、相談、奨学金、そして謎の扉がある。
「あの扉は?」
「あそこはVIP専用よ。宝くじなどで高額当選をしたお客様などを、あの部屋へと招待するの」
いずれいくこともあるわ、とだけ、ワズは言った。