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第16話、冒険税

 ファルーがやってきたからしばらくしてから、私のところには、評判が広まったのか、いろんなお客様がやってくるようになった。


 ある朝。私がいつものように窓口にいると、お客様がふらりと立ち寄られた。

「いいですか」

「ええ、どうぞ。おかけください」

 私が椅子をすすめると、どうも、とだけ言って、その椅子に座る。私は、窓口にある椅子にすでに座っていたから、すぐに話を切り出す。

「本日はどのようなご用件でしょうか」

「冒険税、ってあるでしょ」

「はい、ございますね」

 冒険税とは、その名の通り、冒険にかかる税金だ。名目は税金であるが、実態は手数料に近い。その徴収方法は、冒険省に出向いたとき、一定の金額を支払うということになっている。これによって、ダンジョンに入る際に必要な免許状の発行を受けることができる。なお、2年ごと又は新規の場合に限り1年後に更新が必要である。

「今回、第4ランクでの更新となるのですが、冒険税の金額ってどうなるのでしょうか」

 冒険者には、ランク付けがされる。これは、ダンジョンから持ち帰ってきた財宝に対する納税額によって変わる。直近2年間、新規の場合に限り1年間の納税額が一定金額に達していた場合、当該ランクを付けるというものだ。この納税金額は、控除額と納税対象額が表によって定められている。第4ランクは、下から4番目ということであり、冒険に関する所得額は120メギ、そして、控除額は30メギとなるので、納税対象額は90メギとなる。

 なお、通貨単位は10ストーが1ミーム、100ミームが1メギとなっている。ストーとミームは硬貨、メギは紙幣だ。食パン一斤がおおよそ8ミームだ。

 私は、この表を見せて、そして指しつつ話をする。

「この表に定められている通り、納税対象額は90メギとなります。なお、これからさらに規定の行為に関する金額が必要経費とされるため、さらに納税対象金額は減ります。そして、納税対象金額から、規定の税率を掛け合わせ、納税金額を算定します」

 ちなみに、このランクだと、税率は15%となる。つまり、最大納税額は90メギの15%となるので13メギ50ミームとなる。

「いかがでしょうか」

「そんなに納めないと……」

「ランク維持ということも必要でありましょう。特に、冒険者定期預金の利率維持のためには」

 帝国銀行には、冒険者のための定期預金というのがある。通常通り預け入れるよりも、利率が優遇されるということで、結構人気だ。この定期預金の金利は固定ではあるが、この冒険者ランクによって上下する。ずいぶん昔に、脱税が横行した際に作られたらしいが、脱税するよりもこちらの方がいい利率に設定し、また脱税時の刑を重くしたこともあり、今では脱税は少なくなった。

「税理士もおりますので、節税の方法はお教えできるかと思います。無論、できない、ということの方が多いとは思いますが」

 そういって私は、横にいた税理士に席を譲ることにした。

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