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第14話、株式ミニ投資

 しばらくして、また別のお客様がやってきた。まわりを見回して、場所がわからないようだ。警備員に聞いて、どうにか私の前の席へと座ることができた。

「本日はどのようなご用件でしょうか」

 いつも通りの営業用の笑顔で、私はその方へと聞いた。男性、見た目は20歳に満たない感じの青年だ。レザー服を着ていることから、冒険者のようだ。

「冒険者になったんです」

「それはそれは、おめでとうございます」

「ただ、問題があって……」

 何か言いたそうにしているが、私はそれについて促す程度の会話しかしない。

「どのような問題でしょうか」

「冒険にはお金がいるのはご存じでしょ。そのお金についてなんです」

 詳しく話をきいてみると、冒険者となったのはいいが、その元手となる資金が少ないようだ。ただ、いくばくかのお金はあるし、駆け出しとはいえ、近所のダンジョンで取ってきたものがいくらかあるので、それを元手にしたいということらしい。


 少しの間、私は考えていた。

「ならば、投資をしてみてはいかがでしょうか」

「投資ですか」

 彼がそう口ごもる。投資は博打のようなものだ。元手が全額無くなるというリスクも当然ある。その一方で、当たれば大きいという側面もある。それらを考慮に入れて、考え出したのが、少額でも投資できるというタイプのものだ。

「株式ミニ投資、というのがあります。今回は、議決権を行使することを考えないので、これでもいいでしょう。通常、単元株という単位で売買するのですが、これの場合は、単元の10分の1単位で売買することができるという株式投資です。ただし、単元株が1株の場合、さらに分割することが不可能であるため、購入対象とすることができません。また、株式投資のため、元本割れというリスクが生じます」

「ちょっとずつでも買えるってことですか」

「その通りです。但し、一定の手数料、税金が科されることとなります」

 私はそれ以外のことについてさらに聞くかどうかを尋ね、彼がうなづいてから重要事項説明に入った。


 重要事項説明後、彼にどうするかを尋ねる。

「いかがいたしましょうか」

「あの、口座、作ります」

 彼はわずかにうつむいたまま、そう答えた。

「承りました。では、所定の手続きを行いますので、係の者に引き継ぎいたします」

 あとは、当行の者とのやり取りの問題だ。

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