プロローグ
異世界。それは遠い遠い世界。もしくは、今いる世界と全くの別世界。
私が今いるのは、そんな世界。
魔術が科学の代わりにあって、安定している帝国のところに、私は放り出された。
FPという資格を知っているだろうか。
正式にはファイナンシャル・プランニング技能士という国家資格だ。
金融系の資格の一つで、銀行や保険会社で取らせているところも多いそうだ。
私はFP1級を持っている。
でも、この世界でどこまでそれが通用するか、全く想像がつかない。
異世界というところに飛ばされてしまったからだ。
なんでここに飛んだのかは分からない。
とりあえず、落ち着くためにいろいろと考えてみよう。
「えっとー……」
街のど真ん中ということもあってか、ガヤガヤと私を指さしたりしている人らがいる。
その中で、制服を着た3人くらいの男性らが私に話しかけてきた。
「アナタ、ドコカラキタ」
日本語だ。
「えっと、日本から……」
思わず私は答える。
「ニッポン、ワタシ、シッテル。デモトテモトオイ」
「ええ、とてもとても遠いですね。多分……」
なぜ彼らが日本語を話せるのか、ここがどこなのか、やはり解消されない疑問の数々。
でも、私はそれにかまっている場合ではなくなった。
銃を構えた人が現れたからだ。
「……貴殿が天人か」
「えっ」
流暢な日本語だが、聞いたことがない単語が飛び出してくる。
その銃の人は制服の人らと話しあうと、私についてくるようにと指示をした。