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イカレテル
「イカレテルってよく言われるんだ。
いかれっぷりが垣間見れない?
こいつおかしいなとか変わってるなとか
一瞬でも思わないか?」
周囲が口を揃えて彼をイカレテルと言う。
身体には刺青。耳、鼻、臍、恥部にピアス。
「わたしからしたらみんなイカレテルように見えるから、あなたもイカレテル一人よ。
人は誰しも普通ではないとわたしは思う。」
彼は軽く笑うように、何故か物足りない顔をしてタバコを吹かした。
煙は真っ暗な公園の空に消えていく。
煙を目で追っては、自分も煙のように夜の闇に消えてしまいたいと思った。