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異世界を征く兄妹 ―異能力者は竜と対峙する―  作者: 四方
第七章:巨大学術都市
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第百四十四話:<虹の上にて戦端は開かれる>

 虹色の防護結界を足場に、展開を終えた街の防衛軍は、逸れてこちらへとやってきた対空砲火の弾を、時に一隊に当たらせて堅実に弾いていき、時に陣を組み替えて回避していった。

 足元に落ちてきた友軍の誤射を、即時散開をもって躱す。

 時折、弾幕を避けて飛翔してくる数匹の亜竜を、軍所属の風魔法使い達が風圧の鎚を叩きつけて吹き飛ばす。

 今は、彼らの敵たる亜竜の群れの大半が、砲撃の嵐に飲まれ、翻弄されている。

 硬い鱗に阻まれて、命までは奪えていないものの、既に数十、数百の亜竜達が柔な翼をもがれて落下し、虹色の防護結界に強く叩きつけられていた。

 そうした個体達への砲撃はさらに苛烈なものとなり、砲撃の衝撃に吹き飛ばされて思うような行動を取れない個体も多い。

 鋭い爪牙と強靭な尾を振るって地上部隊と交戦を始めた亜竜も見られるが、8名からなる正規兵の剣士達の連携を前に攻めあぐねている。

 振るった尾が盛大に空気を裂きながら突き進むも、縦列を作った剣士たちの盾にせき止められ、跳ね返された。

 鉄檻を一撃で粉砕する鉤爪の拳を足元に叩きつけたが、横から飛んできた剣士の突進技が軌道を逸らし、狙った男を仕留めることは叶わない。

 一撃貰えば鎧ごと引き裂かれそうな攻撃のサービス群を紙一重で躱しながら、兵士の者達は高い士気で応戦を続けていた。 

 隣の仲間らと頷きを交わして死角をカバーし合い、信頼を寄せる隊長の指示を一言も聞き漏らさぬよう注意しながら、自らと周囲の身を守り続ける。

 攻め手と守り手、双方共に被害は極微に留まりながら、戦線そのものは膠着状態に陥っていた。

 防衛側の軍の者等からすれば、望ましい均衡状態だ。

 しかし、この均衡は何時までも続くものではない。

 友軍の砲塔が過熱オーバーヒートし、冷却のために弾幕が薄くなる時が必ずやって来ることを彼らは知っていた。

 今はその時に備えつつ、本命である対空砲撃の細かい支援に専念する。

 水面下で起こり始めている地揺れを、多くの者が感じ取っていたが、それで隊列を乱すような錬度の低い者は一人もいない。



 しかし、激戦が始まった虹の地上の上空で、亜竜の群れを解き放って以来、エルフ達の飛行船は不気味な沈黙を保っていた。

 




 今話で仕上げきれず、削ってしまった分は、次話に追加しました。すいません。

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