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その0   プロローグ

ふるとり碧人と言います。よろしくお願いします。

 始まりは見知らぬアドレスから送られたメールをパソコンで見たことだった。



 なぜメールを開いた、と問う人もいることだろう。その質問にはこう答えるしかない。

 なんとなく興味が湧いたから、と。



 俺のメールボックスは基本パソコンのセキュリティによってフィルターにかけられてから表示される。だから例えウイルスメールが送られて来ようとフィルターによってはじかれていたため表示はされなかった。このフィルターはなかなか強固なものでパソコン関係の仕事をしている知人が「お前のパソコンのセキュリティはハッキングしようとするやつはアホ。わざわざハックしてまでお前のパソコンをいじるとか割に合わない」と言わしめたほどである。



 もしかしたらこの時たまたま誰かが頑張ってハックして成功し、いじったのかもしれないが今まで被害にあったことのない俺はそんなこと微塵も考えなかった。まあ事実ハッキングされたわけではなかったが。



 とまあこんな経緯もあって俺はメールをなんの警戒もせずに開いたわけだ。



 メールの内容はこうだった。



 VRMMO“リュエード”のトッププレイヤーの一人であるatwaltz様にご案内させていただきます。

 当方はこのたびatwaltz様を新しい世界にご招待させていただきたいと思います。新たな世界に参加する意向があればどうぞご参加ください。ただし、いくつかの注意点がございます。

 1、参加人数には限りがありますのでお早めにご参加ください。人数が制限に達したときには申し訳ございませんが参加をお断りさせていただきます。

 2、選択は一度しかできません。後悔なさらないようにお願いいたします

 3、後で変更することもできません。熟考の上、ご決定ください

 以上の条件をすべて満たすのであればご参加ください。

 新たな世界は今までの常識を全く覆すものとなっております。どんな方でも一度は驚くでしょう。

 それでは参加を心よりお待ちしております。


 参加しますか?

 はい   いいえ



 VRMMOとは仮想現実大規模多人数オンライン(Virtual Reality Massively Multiplayer Online)の略称であり、ずいぶんと前から世界的に普及しているオンラインゲームだ。今まで幾多のゲームが登場し、また消えていったこの業界だが現在は世界中でVRMMOといえばこれ、と定番になっているものがある。



 VRMMO“リュエード”。世界で一番ゲーム人口の多いとされるゲームである。中でもトッププレイヤーにでもなればゲームをやっていない人でも知っている、と言われるほど。オンラインゲームの世界に登場した時から今日(こんにち)まで常にトップを走っているMMOだ。圧倒的ビジュアル、クオリティ、そして自由度。VRMMOの歴史を変えたといっても過言ではないではゲームなのだ。



 メールはリンクのURLが乗っておらず選択部分の“はい”だけがリンク先へ開けるようになっていた。



 近々“リュエード”の運営が新しい何かを発表するという確かに情報は俺も知っていた。何か、というのは完全にブラックボックスでいまだプレイヤーの間でも情報は全く洩れていない。しかし、これは“リュエード”の運営としては珍しくなく過去にも何回かこういうことはあった。



 とするとこのメールは運営が一部のプレイヤーにだけ送ってきた新しい何かへの招待なんだろうか。



 けれどもこの注意書きが疑問になる。1はまだしも2,3に関しては疑問というより不信感が湧きでてくる。これはどういうことだろうか。一応“リュエード”も最初のキャラ設定は一度完了してしまえば二度と変更できない設定だったから変ではないんだが、それでも思うところはある。



 こういう場合は“はい”を選ぶべきじゃない、とわかっている。わかっているけどどうしてももしかしたら・・・という思いが出てきてしまう。なんにしてもそうだがスタートダッシュを決めることができればかなりの有利だ。もしこのメールが新しいMMOの先行参加権だったら?



 ・・・もういいや、押しちゃえ!



 ごちゃごちゃ考えてもやってみないことにわからない。仮にウイルスや釣りでもなんとかなるはず。自分に勝手に理由をついて、己の欲望に耐え切れず俺は“はい”を押した。



 瞬間画面が真っ白くなった。



 やっぱりウイルスの(たぐい)だったか・・・。ちえ、明日直すのを頼みにもっていかないとなあ。

 自分でまねいたこととわかっていてもちょっと期待した分落胆もあった。



 仕方がないからパソコンの電源を落とすために強制終了させようと電源ボタンを押そうとした。



 その時。



 『ようこそ』



 え?



 世界が光に包まれた。



 部屋の主がいなくなった部屋でパソコンだけが不気味ついていた。

 ようこそ、あらたなる世界(リュエード)へ。

 真っ白いディスプレイにはその1行だけが浮かんでいた


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