合縁奇縁
人には見えぬ異形のモノ
しかし時折人に見せる姿は恐ろしい
それに気づく者たちは彼等を「妖」または「妖怪」と呼んだ
「ねぇ、あそこにだれかいるよ」
「あ、ここに女のひとが」
「おじさん、だぁれ?」
私は昔から、人には見えぬものが見えた。それは別に危害を加えてくるとかそんなことはなくて、ただそこに存在しているだけだった。多分、存在していた。
「と、透ちゃん?何を言ってるの?」
「透、だれがいるって?」
「ねぇ、誰とお話ししているの?」
周りの大人も、学校の友達も、私の言うことを理解しなかったし、しようともしなかった。
長い間友達が出来ず、親にもあまり関わらずにいたら、私は謀らずも、ひねくれて育ってしまった。
あなた達に理解ってもらおうと思ってない
何故あなた達は私を馬鹿にするの
あなた達に何の権限があると言うの
なんであなた達は私にしか見えないの
あなた達は何がしたいの
ただ存在するだけで私に迷惑をかけるならいっそ――――
いっそ、私の世界からいなくなってしまえばいいのに
私の世界からも視界からも、異形のモノは消えることはなかった。
毎日が苦痛の日々だった、っていうのは嘘だけど、別に日々を楽しく過ごすことができたわけではなかった。ただそれもあの人と、
烏丸師匠と出会う前までの話だ。