退屈な世界に別れを
カチッ...カチッ...カチッ...カチッ...カチッ...カチッ...カチッ...カチッ...カチッ...
時計の動く音だけが僕の世界に響く。
僕は何を思ったのか
不意に目を開けて起き上がった。
そして何をするでもなくただボーっとした。
この部屋から出るのすら億劫だったし、
部屋にいても特にやることはなかったからだ。
まさしく今の僕は虚無であった。
ボーっとしながら思考巡らせ、人生を振り返ってみれば、やはり僕は無価値な人間だ。
生まれてから今までなにも成し遂げなかった。
きっとこれからもなにも成し遂げない。
...いったい僕はどこで道を間違えたのだろうか、
わかったとしてこれから何かが変わることはないのだろうが...。
...叶うことなら過去に戻ってやり直したい。
だけど現実はそうはいかなくて、
ただひたすらに現実的で非情である。
ああ、たった一度きりの人生だったのに僕はこのまま死んでしまうのか?
なんて酷い話なんだ、この世界はあまりにつまらない。
魔法は無いし、ハラハラする冒険もない。
不思議なひみつ道具もない。
あるのはただ苦痛に満ちた日常と
残酷な現実だけだった!
「こんな世界から逃げてしまいたい。」
心の中にそう呟いた。
直後その声を肯定するかのような
僕は"あること"思い出した。
それは前々から欲していたけど、
出来なかったことだ。
ああ、そうだよ!
そろそろかもしれない!
僕は立ち上がって、
引き出しからカッターを取り出した。
自然と脈拍は激しくなり、
カッターを持つ手は震えていた。
...ピンポーン〜♪
プレステ5が来た。
開封しながら、僕はやっぱり思うのだ。
「遊びのない世界なんて退屈だ。」
ひまだった