第30章〜第31章
第30章 眠れない夜
なぜだろう。寝れない……
私は白い天井を見上げる。おかしいな。体育もやって、しっかりお風呂にも入ったはず。
ちなみに、恋愛漫画で言う『好きな人のことがよぎって眠れない』とかじゃない。なぜか眠れない。
いや、寝ることを意識しなければ寝れるんじゃないかと。ボーッとしながら目を瞑るが、一向に寝れる気配がない。ダメだ。
なら、羊を数えよう。
羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹、羊が四匹、羊が五匹、羊が六匹、羊が……羊が……ダメだ。忘れてしまった。
えー、羊がx体、羊がy体。頭が痛くなってきた。なんで数式で数えちゃったんだろ。数学苦手なのに。数学ができる人は、いまいちわからない。卓くんも……うーん。
ダメだ。何か考えよう。あ、そういえば次のお出かけはどこに行こう。毎月に一回以上おでかけに行ってるからなー。いい加減、カフェは飽きてるよなー。
なら、どこに行こうかな…………あ、そう言えばツンデレごっこのデレモードはいつ発動させようかな。
*
眠りとは不思議なもので、なぜか、いつの間にか眠ってしまうのだ。
第31章 台風
台風で大雨なのに、今日は学校がある。おかしいと思うが、学校側にもどうしても行かせたいと思う。先生は「教える」のが仕事だ。まさか、水たまりがある中での道の歩き方を教えてくれているのだろうか。
*
と、思っていたことがある。でも、途中から風が強くなり、髪も顔も腕もびちゃびちゃ。これじゃ、傘の意味があまり無い気がする。雨は降り続けていて、シャワーのようだ。
「おはよー……」
久保さんが来た。
「おはよ……お、すごいね」
彼女は髪が濡れてくっつき、シャツも濡れている。ちなみに、透けてはいない。
「もうさー、散々だよ。風で雨粒が当たるし、水たまりに入って靴に水が入るしで、散々だよ」
散々を二回言った。
「ね、ハンカチない?カバンを拭きたいんだけど」
「はいはい」
ポケットからハンカチを出し、彼女に差し出す。
「あぁ、ありがとう」




