第23章〜第25章
第23章 ポテト
帰りの寄り道で、ファストフード店にきている僕と久保さん。
「見て、卓くん」
彼女が見せてきたのは、これまた長いポテト。
「子供かな」
「でも、こう言うのが楽しいんだよ」
時々子供っぽいよな久保さん。
僕も負けじと長いポテトを探すため、ポテトの箱をまさぐる。
んー……手応えは……お。
取り出したのは、久保さんより長いポテト。
「ハハハ。恐れいったか」
久保さんは大して驚かず、さらに長いポテトを見せてきた。露出狂ならぬポテト狂。
「テッテテー」
「ぬ……」
ダメだ。さらに長いポテトを出さなければならない。
いっそのことと思い、中身を見てみる。
確かに、長いポテトはいくつもあるが、どれも彼女が出したポテトの長さには敵わない。勝ち目がないのだ。
「…………お」
僕が出したのは、久保さんのよりも長いポテト。
「……んー?」
僕はギョッとする。
「ちょっと、手を離してみて」
「……え?」
「いいから」
観念して手を離すと、僕の手から二本の長いポテトが力なく落ちた。
「ほーらやっぱり。そんな長いポテトあるわけないでしょうが」
「ギエー」
なんなら、短いのと長いのを合体させたほうがいいか?いや、多分バレるな。
諦めて降参すると、久保さんは自分が出した一番長いポテトを食べ始めた。
第24章 野良ネコ②
久保さんと下校していると、三毛ネコが転がっていた。
「あ、いた。この前のネコ。卓くんと似てるネコ」
「その覚え方やめて」
久保さんはトトトと音のするような小走りをしてネコに近づく。三毛ネコはグデーと転がって久保さんの小さな手に頭がスッポリ収まる。
「ほらほらかわいいね〜。アラ〜〜」
甘い声を出してネコを撫でる。
「やっぱり、人に慣れてるね。このネコ」
「ねぇー、甘えてくるねー。卓くんにやっぱり似てる」
「あのねぇ」
「これ、卓くんの心が具現したネコじゃないの?私に甘えたいからって」
「あのねぇ。甘えたいとは思ってないよ」
「えー。ほんと?」
彼女はニマニマと笑いながら僕を見る。
イラ。一瞬だけ、その感情が出てきた。ハテ、この感情は久保さんに向けたのか、それともネコに向けたものなのか。
ネコだとすれば、嫉妬……嫉妬なのか?
久保さんは延々とネコの頭を撫でてていた。
第25章 スティックパン論争
「で、どっちがいいかな?」
「ね」
僕らはグミを買ったコンビニで、二種類のスティックパンを選んでいた。理由は小腹が減ったから。
「私はメロンかな」
「僕はチョコがいいな」
お互い、お金の問題で一種類しか選べない。
久保さんが選んでいるのは、スティックメロン棒。
僕が選んでいるのは、スティックチップチョコ棒。
両方とも六本入ってはいるが……
「でも、長さならチョコかな」と僕。
「でも、味ならメロンじゃない?」と久保さん。
「んーー……」
二人して声が揃う。
「長さ、か、味、だよ」
僕は久保さんを見て言う。
「でも、お腹空いてるよね」
「うん」
「で、長さを重視するか、美味しさだよ」
「……やっぱり。ねぇ」
「やっぱり……だよね」
*
「ありがとうございましたー」
店員さんのマニュアルのような挨拶をもらい、僕らは店を後にする。
久保さんは買ったパンの封を開ける。
「ほら」
「おー。ありがとう」
僕らはスティックチップチョコ棒を同時に食べ始める。
「……意外と美味しいね」
「意外とってなに……」
こんちくわんこそば。
久しぶりにこの挨拶をした気がします。最後の第25章は親が買ってきた、どこぞのコンビニのスティックパンをもとに書きました。
そして、24章の野良ネコ再来。三毛ネコー!今まで忘れてたでー。
ネタが出てきて、よかった。
早く学校が始まってほしいなー。