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第20章〜第22章

   第20章 新しくなるファッション


 今日は日曜日で、久保さんとお出かけをする日。

 集合場所は駅前。事前にメールがあるおかげで助かる。

「あ、いた。卓くん」

「あぁ、久保さん……ん?」

 彼女の右耳が星のように鈍く光った。

「え……?」

 久保さんは快活な笑顔で僕に近づいてくる。

「えー……あのー……?」

「え、どうしたの?」

「いやー、耳が……」

「あー。気づくの速いね」

「いや、それ、ピアスだよね?」

「うん。どう?」

 僕は言葉がたどたどしくなる。

「いやー、どうっていわれても……んーー」

「まあ、心配しないでよ。病院でやったからあんまり痛くはなかったよ」

 そう言うことじゃないんだよね。まさか、久保さんがピアスを開けるとは。これは予想外だった。ついに、耳のファッションまで手を出すとは。

 いや、別にそれを忌避(きひ)するわけではない。

 うん。ファッションは悪いことではない。


          *


 驚きつつも、お出かけを終え自宅に戻る。

「ダメだ……」

 どうしても、彼女のピアスがよぎる。衝撃が隠せないといえばそうだ。

 でも、同時に思ったことがある。

 ファッションって進化してるな。服に髪型にお化粧に。そしてピアス。こう見ると、人間ってファッションさえも娯楽にしているのかもしれない。

 どんどん世の中は進化してるけど、人の心は進化しないのかもしれない。

 かわいく見られたい、自分を表現したい、若々しくいたい、モテたい、あの子に振り向いて欲しい、あれはダサい、これはかっこいい、あれはかわいい、痛い。いつでもそんな感情が渦巻いているのだ。

 人間。難しい。


   第21章 ノート


「あれ……?」

 国語のノートが切れてしまった。どうしよう。あ、卓くんに借りよう。あ、でもクラス一緒だから無理かな。いや、ノートを破いて貸してもらおうかな。

 颯爽と席を立ち、卓くんに近づく。

「ね、卓くん」

「ん、あぁ、久保さん。どうしたの?」

「ちょっと、国語のノートがなくてね。よければ、一枚破いて貸してくれない?」

「貸さないよ。あげるよ。あ、でも……僕、破るの苦手なんだよね。こういうの」

「あー、まぁ、いいよいいよ。あとで貼るから」

「いやいや」

 卓くんも席を立つ。私と同じくらいの身長。

 ロッカーからスケッチブックみたいなノートを取り出し、ペリペリと破く。

「これでいいかな?」

「ありがとう」

 ペンとか貸す時は普通に渡すのに、ノートの時はこだわりがあるようだ。クライアントに質の良いものをってやつか。

 いや、いいかえれば気配りの塊……かな?

「ありがとう。卓くん。帰りにジュースを奢ってあげよう」

「いや、いいよ」

 謙虚なんだよなー。私なら速攻で「オッケー。じゃあ、今日はいちごミルク!」なんて言うのになー。

   

   第22章 売店


 僕の学校の一階には昼休みに、突然現れる売店がある。いや、違うな。ただしくは、「四時間目くらいで事前に作った食べ物を持って学校を訪れて、授業が終わる十二時五十分には開店して、一時五分には閉まるどこぞのお弁当やさん」だ。ほんとうに、霧のように消えるのだ。あとかたもなく。


          *


「あれ……」

 リュックの中にお弁当があったはずが、ない。やばい。お弁当忘れちゃった。

 幸い、お財布があったから、一階の売店に行こう。今まで、買おうかと思ったが教室のある四階から一階に行って、そこから戻るから面倒なのだ。

 でも、不思議と行く人は多いようだ。

 階段を下っていると、ジュースを買ってきた久保さんとすれ違った。

「あれ、卓くん。売店に行くの?」

「うん。お弁当忘れちゃって」

「へぇー。じゃあ、おかずあげようか?」

「うーん。じゃ、もらうよ」

「はいはーい」

 少しスピードを上げる。

 一階には、行列ができていた。まぁ、そうなるよね。

 何があるか覗くとお弁当に、おにぎり、あと透明な箱(ケース?)に入っているお惣菜。

 財布を開くと、千円札があったからお弁当とお惣菜を買おうかな。

 列に並び、段々人がはけてくる。

 だが、人が減ったと言うことは買うものが減ると言うことだ。残ったのはお弁当一個と、惣菜数個とおにぎり二個だった。

 だが、すぐにお弁当とおにぎりがなくなってしまった。ダメだ。あとの人がおにぎりを買えば、僕は惣菜しか食べる道が残されていない。

 だが、すぐにおにぎりも手に取られてしまった。

 ダメだ。もう、お昼に惣菜が確定してしまった。


          *


 結局、買ったのはコロッケ二個の入った惣菜と、五個入りの唐揚げだった。揚げ物ばかり。今日は夕飯を少なめに食べよう。

「ハハハハハハ!」

 久保さんにも笑われた。

「茶色いねー」

「仕方ないじゃん。惣菜しかなかったんだから」

 割り箸をつけてもらったのが何よりの救いだ。

「まぁまぁ、じゃあ、赤色をあげよう」

 僕のコロッケのところにミニトマトを置かれる。デジャブ。

「でも、美味しそうだね。唐揚げ一個ちょうだい」

「やだよ。僕のお昼を少なくする気?」

「ミニトマトがあるからいいでしょ?」

「あー、分かったよ」

 来ました!久保さん視点!「活動報告」を読んでくれた人はご存知だと思いますが、ちゃっかり伏線を仕込みました。

 あと、久保さん視点はスピンオフですね。いやー。本来なら久保さん視点はスピンオフだけにしようと思ったのですが、「やっぱり卓だけじゃ早々にネタが尽きちまう!」というわけで、彼女の視点も入れました。

 いやー。書き分ける技術はまだ未熟なので、「あれ、これ、人は久保さんなのに、心は卓じゃね?」と、久保卓現象が発生するかもしれませんが、そこはお許しください。いや、許さなくても良いです。

 第22章。これ、結構あるあるなんですよね。霧みたいに消えるんですよ。もしや、幽霊なのかと思います。

 さて、まだ続きつつある2章3章の質より量投稿。質がいいかは微妙だけど。

 では、これで失礼。チャオー

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