第10章〜第11章
第10章 創造合戦
僕の部屋に、謎の透明なビー玉がある。なぜだろう。ラムネを飲んで取り出したものなのかと考えたが、あいにく、ラムネなんて飲んだことない。炭酸嫌いだし。
気になったから親に聞いてみたが、「知らない」の一点張りだった。
仕方がないから、期待はしてないけど久保さんに電話してみた。
『なるほど。謎のビー玉か……』
「うん、なんなんだろうって」
スピーカーにしてベッドにスマホを置き、ビー玉を見る。
『あれじゃないの?小さな水晶玉。見れば、なんか運勢とか未来が見えるんじゃない?』
「そんな凄いもの?」
見る限り、ただのビー玉だ。ガラス百パーセントの。こんなものにそんな超能力があるなら、絶対僕の部屋にはない。占い師なんて最近は見ないし、あっても占ってもらいたくはない。“信じるか信じるないかは”ってもんだけど。
覗いてみると、未来どころが逆さまな縮小された魚眼の空間が見えるだけだ。
「んー。なんか、もうちょっと、ない?現実的な……」
『じゃあ、卓くんも創造してみてよ』
「えー……」
ビー玉を見る。小さくて、丸くて、透明で……なんか、宝石みたいだ。でも、何かが違う。
「小さな、隕石……とか?」
『グ……』
笑いを堪えてるな久保さん。
『……なるほど……っ他には?』
今度は笑いを超えて楽しんでる。また笑える答えを期待しているな。
「えー……」
またビー玉を見る。どう考えても何も思いつかない。ダメ押しで、もう一回“小さな隕石”とでも言ってみるか?いや、ダメだな。耐性ができてるかもしれない。
「やっぱり、小さな水晶玉かな?」
『ほらほら。やっぱりそれじゃないの?』
「うーーん……」
それから、雑談をして電話を切ってビー玉を二分くらいじっと見たが、結局何にも見えなかった。
第11章 辛い食べ物
休日も最終日の日曜日になった。親が買い物に行ってるせいで、お昼が食べられないじゃないかと思ったが、そういえば袋麺があるのを思い出した。
一階に降りて戸棚を見る。
「あ、あった……でも」
これは某南の国の辛いラーメンだ。ラーメンと言っているのに汁なし。
まぁ、いっか。
フライパンを用意して、一袋の麺が入るくらいの水を入れ、コンロの火を付ける。
「よしよし」
そのスキに袋から麺を取り出して、それから辛さの元であるソースとかやくを取り出す。カップ麺かな。ちなみに、このかやくはできた後に入れるらしい。具材だ。
水が沸騰してきたら、麺を入れる。箸でわしゃわしゃとほぐしていくと、麺がいい感じになってきた。
そして、お湯を捨てる。大さじ一杯くらいのお湯を残すらしい。そして、コンロに戻して辛いソースを入れて三十秒くらい炒める。火を止めて、かやくを振りかける。
これで完成だ。
コースターを敷いて、フライパンを置く。
麺はソースと混じって真っ赤で、ただならぬ辛さをかもし出している。
「お、おぉ」
思わず、息を呑む。たまに食べる辛いラーメンとは違う辛さを感じる。すげぇな。某南の国。頭に、白い国旗と赤い国旗が浮かぶ。一瞬、どっちの国かわからなくなった。
ま、いっか。
椅子に腰掛け、手を合わせる。
「いただきまーす」
箸を持ち、麺を持ち上げて口を開ける。が、すんでのところで静止する。
あ、これヤバいやつだ。食べれないかも。いや、作ったものを無駄にしてはいけない。
呼吸を整え、麺をすする。
「ゲホッ」
出てきたのは、咳だった。これ、すすっちゃいけない。三十秒くらい咳をして、二口目にいく。
辛すぎる。ほっとくと、段々辛さが増してくる。
またすすり、辛さに悶える。
ダメだ。辛い。食べた瞬間はなんともないが、ほっとくごとに辛くなってくる。
また食べないと。そう言い聞かせ、また麺を口に入れる。いや、入れ続ける。休む暇はない。休んでたら、辛さが狩人のごとく襲ってくる。辛い。でも、食べなければ。
結局僕の顔は、涙と鼻水と汗でダラダラだった。
食べ終わる頃には、無意識で麺を放り込んでいた。
なにか、甘いものが欲しい。冷蔵庫を開けると、牛乳があった。神。
疾風のごときスピードでコップを取り出し、牛乳さんを注ぎ、飲み干す。
「はぁ〜〜」
口の中が生き返った気分だ。辛さに塗れて地獄となっていた口は、牛乳という聖水を注いだことで天国になった…………と思っていた。
天国から一変、また地獄が蘇ってきた。辛さがまた来た。鮭みたいだ。
また牛乳を注ぎ、飲み干す。
だが、また辛味が襲ってくる。まさに生き地獄。そうだ、甘いものを食べよう。そうすればいいのだ。また戸棚から食べ物を取り出す。あったぞ。個包装のチョコレートだ。チョコレートだ。
二袋食べて、少し落ち着いてきた。
「ふー……」
だが、油断は付き物。僕はうっかり口元を舐めてしまった。
また辛さが戻ってきた。もうだめだ。運も、何も守ってくれない。
それから、しばらく辛いものを食べられなくなった。
こんちくわんこそば。
早速ですが、ここから振り返りましょう。第10章。
このお話、編集するときの机にあった、ラムネのビー玉を見て思いつきました。意外と、物からお話を練るのは難しいんです。でも、今回は十分弱でできたと思います。
次に、第11章。これ、半分くらい実話です。このラーメン。めちゃくちゃ辛いんですよね。何回も食べてますけど、やっぱり辛さは慣れません。
さて、第二作目。楽しいです。書いてみて。自分自身、このお話全体は、中学校二年生に原稿用紙で書いた小説のリメイクみたいな物です。でも、その原稿用紙全部捨てちゃって。ほとんど忘れちゃいました。だから、一から書いてます。リメイクと言っときながら、一個も内容覚えてません。でも、60章で、150枚くらいの量だった気がする。当時の僕、恐るべし。夏休みに入ってるせいで、日常ネタがつきそうです。お助け。