第36章〜第39章
第36章 回答
「ね、卓くん」
小テストとその答え合わせが終わった休み時間、久保さんが現れた。
「私、さっきの小テスト、答え合わせの時に寝ちゃって。ちょっと、答え、いい?」
「はいはい。どこ?
ノートに挟んだプリントを取り出し,バッと広げる。
「まずね、問一の、三」
「これはイだよ」
「なるほど」
僕の机にプリントとを置き、取ってきた赤のボールペンで書き始める。
「で、その次は?」
「エ」
「ん?」
彼女は首をかしげる。
「あ、エだよ」
どうやら、彼女は僕が驚いたと思ったらしい。なんか、天然というか。
第37章 恋しくなるもの
「お」
久保さんは駅前のアイスの自販機の前で立ち止まった。寒いのにどうして見るのだろう。
「どうしたの?」
僕が聞くと、久保さんは目を輝かせる。
「買いたい」
「なんでよ。今寒いじゃん」
「いやいや。寒いほどアイスって食べたくならない?なんか、いけないことしてるみたいで」
「カリギュラ効果じゃあるまいし」
すかさず彼女は財布を取り出し、お金を入れてコーンのアイスを買う。しばらくして、アイスがガシャンと出てきた。
包装を素早く開け、アイスにかぶりつく。
「どう?何味なの?それ」
「プリンだって。うん、おいしい」
何度かうなずく久保さん。
「…………」
僕も財布を取り出して、アイスを買う。僕はコーンのチョコ味を買う。
「お、買うんだ。珍しいね」
アイスを食べながら言う。
「まぁね。美味しそうだったから買っただけだからね」
「お、ツンデレ?」
「違うよ」
第38章 気になる
私は今日の卓くんを怪しがった。いつもなら、髪に流れを作っただけの髪型なのに、今日は髪を分け目で二対八で分けた上に、前髪の一部を目の辺りまで引き寄せている。どこかのアニメキャラみたいである。
どう考えても何かが起きたとしか言いようがない。
「……どうしたの?」
私が聞くと、彼はこう答えた。
「あぁ、ちょっと髪に付けてるのを切らしちゃって。だから、今日はちょっとイメチェンで、家にあったワックスを使ってみたの。どう?」
「うん。その前髪が腹立つね」
でも、髪型が違うだけで、男の子はこんなに印象が変わってしまうのだ。
なんだか不思議に思った。
後日談だが、翌日の卓くんはしっかり戻してきた。
第39章 アジフライ論争
ここは、僕の家。帰りに久保さんが寄ってきたのだ。
そこで、僕と久保さんは、またあることで話し合っていた。それは、アジフライに何をかけるか。僕は醤油で、久保さんはソース。どうでもいいことで争う僕たち。
「魚には醤油でしょ?私、焼き魚には醤油かけてるよ」
「いやいや。アジフライは揚げ物でしょ?だから、僕はソースかけるよ。一々、アジフライとキャベツでかけるものを分けてたら疲れちゃうよ」
「醤油はね、あっさりとした味があるの」
久保さんの言葉に、僕も反論する。
「ソースは濃い味があるの」
お互い、一歩も譲らない。
「もう、作ってみるからお互い食べてみなさいよ」
そこでかかった鶴の一声。僕の母親がそう言った。そして、僕に出てきたのは、醤油のアジフライ。久保さんの前に出てきたのはソースのアジフライ。お互い、箸でアジフライを食べてみる。
「あ、おいしい!」




