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28母出産と

宜しくお願いします。



  「急いで行くぞ!」


 父様が走りながらそう言った。

 どこへというと、病院まで。


 母様が産気づいたからだ。

 陣痛が始まったらしい。


 丁度父様が帰宅してたから、父様が車で病院まで連れて行くことになった。

 ナイスタイミングってやつですね。


 一足先に素早くガレージに向かい車をエントランスに付けた父様。

 僕たちも一緒に行くことになり、車の後部座席にササっと座った。


 「ティ、もう少しの辛抱だ。頑張れ!」


 「大丈夫よ、安心して」


 過去二回の出産経験から母様は落ち着いていた。

 今回で三回目だ。

 双子は流石に初めてだけど、流れは同じなんだと思う。

 陣痛が起こる期間が短くなってきているみたい。


 十分以内に病院のエントランスについた。


 「ユート、車椅子を取って来てくれ。ティに使ってもらう」


 「はい、探してきます!」


 入り口を入って直ぐの所に車椅子の列を発見したので、そこから一台拝借して入り口に戻った。

 アイリーゼが母様を支えていた。


 「母様乗って下さい」


 「ええ。ありがとうユート」


 ゆっくりと慎重に母様が車椅子に座った。


 「産婦人科に向かえば良いんですか?」


 「ネルが分かってるから、来るまで待機ね」


 「了解です」


 あちこちをキョロキョロしながら父様を待つ。

 退院した時は周りをあまり見てなかったから、今回はじっくりと観察することにした。


 「待たせたな。行こう」


 父様が速やかに車を置いて来たらしく、合流した。

 母様が座っている車椅子の操作を始めた。


 エレベータに乗って二階まで。

 降りた所で真っすぐと迷いなく、父様が進む。


 「ティーヤ・エアル、陣痛の間隔が短くなってきてます」


 受付の所で父様が診察券を取り出して渡しながら言った。


 「はい、確かに。左から二番目の診察室にお入りください」


 「分かりました」


 父様が指示された診察室に母様を連れて行く。


 「お子様は外の席でお待ち下さい」


 診察室まで僕等は母様の付き添いはできないらしい。

 後は入室できる父様に任せるしかない。


 「はい」


 「アイリーゼを頼んだ、ユート」


 「はい、確かに」


 僕ら二人の頭を撫でてから、診察室の中に消えて行った。

 扉が閉められて、完全に遮断された。


 「兄様、母様は大丈夫なんですか?」


 「うん、大丈夫だよ。これから時間がちょっとかかるかもしれないけど、二人で大人しく待ってようね」


 「はい」


 「どんな子たちが生まれるんだろうね?」


 アイリーゼに問いかけると。


 「わかりません。でも、楽しみです!」


 素直にそんな返事が返って来た。


 「そうだね」


 同意しかないので、大きく一回頷いた。


 「兄様はどんな子達が良いですか?」


 「元気に生まれてきてくれるなら、それだけでいいかな」


 母子ともに健康を願っている。

 それが一番です。


 「私も同じです!」


 「そっか」


 うんうんと小刻みに頷いたアイリーゼの頭を撫でた。

 お姉ちゃんとしての自覚が沸いたのかもしれない。


 時刻は午後五時半過ぎ。

 ご飯の時間までに生まれるかな。

 それともこれから長期戦が開始するのか。


 陣痛の間隔が短くなって、最後は出産になるんだよね。

 一般的な知識だとそんな感じだけど、実際はどうなのか。

 こっちの人も地球人と同じ感じなのかな。

 詳しいことは分からない。


 それから、アイリーゼと世間話的なことを話ながら時間を潰していたら、診察室のドアが開いた。


 「無事、ご出産されました。中にお入りになりますか?」


 「良いんですか?」


 「どうぞ」


 アイリーゼの手を取り、中に入って行くと。

 一人を抱っこしている父様と、もう一人を抱っこしながら寝ている母様がいた。


 「抱っこしてみるか?」


 父様に問いかけられたので頷いて答えた。


 「はい。抱っこしたいです」


 「ちなみにピアーネだ」


 スヤスヤと父様の腕の中で眠っていた。


 「どっちが上なんですか?」


 「ウォレックが先だったので、お兄ちゃんだな。ピアーネが末っ子で妹だ」


 慎重な手つきでピアーネを受取った。

 小さくて、直ぐに壊れそう。

 脆いガラスに触れるように、ゆっくりと気を付けて抱っこした。


 「アイリーゼも抱っこするか?」


 「はい」


 父様が母様の隣で寝ていたウォレックを抱き上げて、アイリーゼに渡した。

 ウォレックもピアーネと同じようにスヤスヤと寝ていた。

 目を開けてないから瞳の色が分からない。


 髪色はウォレックは父様や僕みたいな色合いの紺色。

 ピアーネの髪色は婆様と同じ金髪だった。

 生まれたてにしては毛量が豊富だった。

 目をつぶってるから分からないけど、瞳の色はどんなのか気になった。

 目は何時頃開けるのかな。


 小さくてめっちゃ可愛い子達でした。

 これから一緒に成長していくのを心待ちにしています。


 「それじゃあ、俺達は帰ろうか。ティはここで入院になるからな」


 「ええ。ちょうど晩御飯の時間くらいでしょ、帰って食べなさい」


 「はい。また来ます」


 「来ます」


 抱っこしていた双子を母様に任せ、父様と共に診察室を後にした。


 「安心したらお腹が空いた。早く帰ってご飯を食べような」


 「「はい!」」


 駐車場に行き、車をピックアップして、病院を後にした。


 「ウォレックは父様や僕に似た紺色でしたけど、ピアーネは婆様の髪色でしたね。瞳の色は見ましたか?」


 「いや、目をつぶったまま泣いていたから見ていない。目を開けるまで数日かかるだろう」


 「そうですか」


 どうしてこんなにも瞳の色が気になるんだろう。

 誰から色を受け継いでるのか分かるからかな。


 「ユートは誰のを受け継いでるのか気になるのか?」


 「そうみたいです。二子のアイリーゼと一子の僕は分かりやすいのに、三子のウォレックと四子のピアーネが分からないので」


 どういう風に受け継がれているのか気になった次第です。

 今の所父様と母様を飛ばして婆様の色がピアーネに受け継がれている。

 この調子だとウォレックも爺様や婆様の色を受け継いでる可能性が高い。

 もしかしたらひい爺様世代やひいひい爺様世代を継承してる可能性もある。


 考えれば考えるほどドツボに嵌っていく。

 退院して帰宅する頃には目が開いてるだろうから、その時を待てばいいかな。


 「母様はいつ退院するんですか?」


 「四日後と聞いている。その時までにチャイルドシートを買わねばな」


 一つだけならあるから流用出来るけど、双子だから二つ必要。

 車の問題もあるし、退院の日は父様だけに任せようかな。

 それとも六人乗りの車があったかな。


 「今までは五人乗りで問題なかったが、これからは七人乗りの車に乗る必要がある」


 「あるんですか、七人乗り」


 もう既に乗ったとしても、残念ながら覚えていない。


 「ああ。というか、もう乗ったような気がする。ティの実家に行った時の行きの車、覚えてないか?」


 「ああ、あれ七人乗りでしたっけ。思い出しました」


 空港まで補佐役の方に運転を頼んだんでした。

 一番後部の座席にチャイルドシートを設置すれば大丈夫そうだね。


 「じゃあ、俺はちょっとチャイルドシートを買ってくるな。閉店ギリギリになりそうだ。先に晩御飯食べてくれ」


 「「いってらっしゃいませ」」


 チャイルドシートは車の店に売ってるのかな。

 それとも幼児向けの店かな。

 どこへ向かうのか良く分からないまま車を運転する父様を見送った。


 入り口で降ろされた僕らは家に入る。

 玄関でスリッパを履き、洗面所へ向かった。

 手を洗ったらダイニングまで。


 そこでは先に晩御飯を食べているひいひい爺様達がいた。


 「おお、おかえり。先に食べるように言われたのか?」


 「はい。自分たちの分、盛り付けてきますね」


 台所へ向かい、ご飯と汁物、おかずをプレートに乗せてダイニングへと戻った。

 今晩のメニューはメカジキのムニエルにコーンスープとサラダだった。


 いただきますを言って早速食べ始めた。

 最初はサラダから。

 今晩のサラダはレタスがたっぷりの緑のサラダ。

 フレンチ風味の白いドレッシングがかけられていた。


 次にムニエルにレモン汁をかけてから食べる。

 うん、バターのコクと合ってていい感じ。

 醤油もあったけど、かけなくても十分美味しく食べられた。

 そして間にスープを飲んだ。


 黙々と何も言わずに食していたら、あっという間に食べ終わった。

 ご馳走様を言い、一息ついた。


 デザートは任意で、欲しい人だけが選ぶ。

 アイス、ゼリーかプリンの三種類。


 今晩のデザートはパスしておこうかな。

 晩御飯だけでお腹いっぱいになったから。


 「凄いぞ、仔馬が来る!」


 ダイニングに駆け込んできた父様が言った。


 「どういうことですか?」


 「赤ん坊商店に行ったら、エアルノース牧場の牧場主がたまたまいたんだ。出産祝いに仔馬を貰うという話になってな」


 凄いな、会って直ぐに出産祝いの話になるとは。

 それにしても、どこで育てるんだろうか。


 「庭で育てるんですか?誰に任せるんですか?」


 上がった疑問について問いかけると。


 「補佐役の一人が馬の生育に詳しいから、彼女に任せる予定だ。小屋も早急に建てなければな」


 すんなりと返事が出た。


 「仔馬の数は一頭ですか?」


 「いや、双子の出産したということで、記念に二頭だそうだ。明日、小屋を建設しに来るそうだ」


 もう計画的に仔馬を受け入れる準備が出来ているみたい。


 どんな小屋になるのかな。

 建設場所は庭で合ってるのかな。

 庭は広いから、馬小屋の一つや二つ建っても特に問題は無いように思われる。

 どの辺りに建てるのかな。


 それにしても赤ん坊だけじゃなくて仔馬も来るとは、邸内が騒々しくなりそう。

 静かな環境より少し騒がしい方が良いような気がするけど。


 双子の瞳の色もそうだけど、仔馬の色も気になった。

 黒かな茶色かな、それとも白だったりして。


 なんにしろ、明日からの日々がより楽しくなりそうでワクワクした。

お読みいただきありがとうございました。

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