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27魔法付与

宜しくお願いします。


 文月になって数日、真夏になり、室温は自動で涼しくなる仕様なので快適だけど、外は暑くなっている。

 何か暑さ対策はできないかなと頭をひねるけど、直ぐには思いつかなかった。


 しばらくして、何を思いついたかというと、服に魔法を付与すること。

 氷魔法を服に付与できれば涼しく快適になるんじゃないかと思いました。


 「うーん、どうしたらできるのかな」


 今持っている服に魔法をかけられれば、画期的な事が出来ると思ったんだけどな。

 どうやったら出来るんだろう。

 流石に初級程度の魔法力じゃ無理があったかな。


 それでも、あーでもない、こーでもないと思考していたら、ノックが聞こえた。


 「どうぞー」


 ドアから母様が顔をひょっこりとのぞかせた。


 「あら、ユートそんなに真剣に服を持ってどうしたの?あ、入らなくなっちゃった?」


 僕の様子を見に来たみたい。

 服を持って微動だにしない僕を見て問いかけて来た。


 「サイズはまだ大丈夫です。そうではなくて、服に魔法を付与しようと思いまして」


 「どういうこと?」


 「今、夏で暑い季節じゃないですか。服に冷たくなる魔法を付けられたら過ごしやすくなるんじゃないかと」


 例えばそれで服が冷たくなれば夏の猛暑もクールに過ごせるのではないか。

 逆に冬も服を暖かく出来れば、寒さを軽減できるはず。


 「面白いわね。私も試してみようかしら」


 母様が近くに置いてあった僕の服を手に取り、静かに目を閉じた。

 少しして。


 「これでどうかしら?」


 母様から服を受取って、着てみた。

 冷やっこい。


 「服全体が冷たいです。とても良いと思います」


 「温度を下げた水魔法を付与してみたの。氷は冷たすぎると思ってね」


 うん、非常にいいと思います。

 一般的なフィクションの魔法だと温度とか関係ないけど、ここでの魔法は温度調節できるんだよね。

 お陰でとても夏向けの服になりました。


 「微調整されてていい感じです」


 「良かったわ。このアイディア、広めて良いわよね?」


 母様がノリノリで言ってきたので、深く頷いた。


 「もちろんです。夏に限らず、冬も過ごしやすくなると思いますし」


 僕の言葉に、母様が二度頷いた。


 「そうね。冬は暖かくすればいいものね。凄いわ。今までの苦労は何だったのといった感じね」


 「他にも防御魔法とかあれば、軍服に付与したりしてもいいかもしれません」


 「あるわ。軍の方で試してもらいましょう。どこからアイディアが沸いてきたの?」


 「地球のゲームの漫画です。服に防御魔法を付与した物が出てきてたんですよ。だから同じことが出来ないかなと」


 某有名なRPGです。

 それを漫画化した物の中に魔法を使用した装備が登場してた。

 魔法があるんだから、こっちでも同じことが出来ないかなと試してみてました。


 「これは、世界を変えるわ」


 「そんなにですか?」


 母様の大きく言った言葉に驚いた。

 そこまで大事になることなのかと。


 「ええ。早く連絡して広めてもらわなくちゃよ。ひいお爺様に話を付けてくるわね」


 「お願いします。あ、僕も付き添いましょうか?」


 「大丈夫よ。ゆっくり行くわ、ありがとう」


 そう言って足早に軽快なステップで母様が部屋を退出した。

 もうすぐ臨月なので気を付けて欲しい。


 所でトップであるひいひい爺様に話が通れば、後はトントン拍子で広まっていくはず。

 クールビズ、ウォームビズに加えて防御面が備わった服まで。

 考えただけで凄い進歩だ。

 これで内政チート幾つ目めかな。


 山間にある別荘の温泉、学校で新たな学科の創設、霜降りの牛肉、祭りで出店する店の種類に加えて今回の件。

 もっと何かやらかしているような気がしたけど、そうでもなかったみたい。


 他に何か加えるべきことがあったか考えたけど、直ぐには思いつかなかった。

 洗いざらい今回の件と一緒に出せたらよかったんだけどな。


 そうだ、職業訓練校はあるのかな。

 学校で就職先が決まって、それから別の業者への転職となると。

 あまり転職について聞かないから分からないけど。

 学校卒業後の話をすれば、すぐ分かるかもしれない。


 部屋を出て、ひいひい爺様が執務をしている別館を目指した。

 母様もまだそっちに居るんだと思う。


 「ひいひい爺様、職業訓練校はありますか!?」


 誰が室内に居るか分からないのにノックもせずに、問いかけながら扉を開けた。


 「職業訓練校?ないな。何をするところなんだね?」


 ひいひい爺様がいらっしゃって、逆に問いかけてきてくれた。


 「学校卒業後、離職して転職する際に技術を教えてくれる学校のことです」


 「なるほど、それは考えなかったな。こちらでは別級に入学する方法しかないな」


 ひいひい爺様が顎に手をやり、ふむと一つゆっくりと頷いた。


 「別級ってどんな所なんですか?」


 「特級までの学校と違って有料な学校だ。主に卒業生が再就職を目指して進学する学校でもある」


 なるほど、社会人が大学に入学したり、専門学校に入学するみたいな感じかな。


 「有料なんですね。学校みたいに寮もあるんですか?」


 「一応あるが、一部では家から通う学生もいる。中央校は入寮者がほとんどだが、地方の学校は通いが多いらしい」


 地方の学校は実家が近い人達が多いということ。

 中央校に通うにはイグズ内に実家がある人じゃなきゃダメだから厳しいよね。

 入寮費などが有料だと考えると実家がある地元の別級を希望する人達が通うんじゃないかな。


 「職業訓練校は基本的に無料です。寮は無かった気がするんですが、あった方が良い気もします」


 家からの通いでも良いけど、近くに寮があった方が交通の便が良いのでは。

 雇われる予定の教師も宿泊できると良いかもしれない。


 「あと、実際に募集している企業と結び付けて人材発掘するのも手だと思います」


 思い浮かんだ職業訓練校の詳細を語ってみた。

 直接企業からスカウトが来るのはやりやすいのではないかと。


 「うん、良いな。新しく作ることにしよう。転職に失敗した者達にとって光となるだろう」


 おお、なんか凄いことが起こりそうな予感。


 「再就職を求めている元教職員を採用すれば教員の穴を埋められると思います」


 「なるほど、それはいい。定年を迎えても職に就きたい者もいるだろうからな」


 具体的に言えば年金開始までの空白期間がある人達のことだ。


 「年金開始までの期間だけでも就いてくれると良いんですが」


 「定年退職から年金受給期間まで五年から十年ほどあるからその間、就いてくれるだろう」


 思っていたより短期間だけど、十分に思う。

 授業の受講期間は一年未満なのが普通にありそうだし、多分大丈夫だよね。


 「領都に近い物件を調べておく」


 「それが良いですね。寮の候補もリストアップする必要がありますね」


 「通って来るのでは?」


 確かに学生時代と違って卒業しているんだから通ってくるケースの方が多そうだ。

 だけど。


 「念の為ですよ。切羽詰まって住居を手放してるとかあり得そうで」


 「確かに言われてみればありそうな話だな。分かった、リストに入れておこう」


 貯金が尽きて、更に住む場所もなくなってとか。

 そういう場合は寮から通う人達の中に入る。

 そこまで極限になってる人がいないのが一番だけどね。

 何があるか分からないので、始まってみないと分からないけど。


 「所で母様は来てないんですか?」


 「いや、来てついさっき戻ったぞ」


 「そうですか。どう思いました?」


 どう思われているのか気になった。


 「非常に画期的な案だった。ユートが発案したそうだな?」


 「はい。地球の漫画の中に出て来たんです」


 装備に魔法が付与されているというもの。

 そこにクールビズやウォームビズ向けの考えを加えただけ。


 洗濯すると効果がなくなるとか、そういうことはないと思うんだけど、実際にやってからじゃないと分からない。

 洗濯とか関係なく、ほぼ永久的に使いまわせると良いんだけど、どうなのかな。


 「地球に魔法はありませんでしたが、こちらでは日常的に使われているみたいなので出来るかなと思いました」


 「ああ、新しい職業になり得る。働き口を作ってくれてありがとう」


 「いいえ、そんな。僕は単にアイディアを流用しただけですから」


 軽く頭を横に振りながら謙遜すると、ひいひい爺様が僕の肩に手を置いて。


 「それでもだ。こちらで役に立ちそうなことを見つけてくれて感謝する」


 と、言ってくれた。

 確かに普通はスルーしそうなことかもしれない。

 単に着眼点が良かっただけではないかもしれない。


 「これから他にも見つけたら報告にきて良いですか?」


 「もちろんだ。出来ればネルトールやティーヤに通してからだとありがたい」


 「分かりました。思いついたら父様、母様に案を提示しますね」


 両親を通してから発案というルートがいいらしい。

 確かにこちらの事を知り尽くしている二人に案を明かしてからの方がいいんだろう。


 「そうしてくれ。まだ何かあるか?」


 「無いので戻ります。これから授業があるので」


 大きく頷いてから頭を撫でられた。


 「頑張って来い」


 「はい!」


 今日の授業は何かなと思いながら、自室に急いだ。

 内容は地理が五十パーセント程度に他が追随する感じ。

 問いかけられたら、今日は体術にしようかと考えた。


 動きが複雑ではないから、直ぐに体を動かせると思った。

 体術だけじゃなく、身体のキレが良い気がしているので武器術の授業でもいいはず。


 そういえば留学から戻ってから魔法の授業がまだ実施されてないよね。

 出来たらそっちの方も提案してみようかなと思った。


 こんなにワクワクする家庭教師の時間はそうないんでは。

 早く授業を受けたいなと思いながら実施される自室へと急いだ。


お読みいただきありがとうございました。

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