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26母様の妊娠判明

宜しくお願いします。


 留学から実家に戻って数日、妙な雰囲気を感じて周りを見渡した。

 何かがいつもと違う、そんな気がしている。

 この違和感はなんだろう。

 どこから来ているのかな。


 右に左に顔を向けて確認をするけど何も変わったことはなかった。

 部屋自体じゃなくて、そこにいる人が原因なのかもしれない。


 父様、異状なし。

 母様、異状なしだと思うけど、なんかちょっと引っかかった。


 上から下までチェックする。

 すると、あることに気づいた。


 「母様、もしかしておめでたですか?」


 多分違和感の正体はこれだと感じた。

 母様が着用している気持ちゆったりとした服装が決め手だった。

 よく見ると腹部もちょっとポッコリしていた。


 「正解よ。後一か月ちょっとって所ね」


 そんなに経ってたんだ。

 留学で四か月あったから、そこから逆算すると良い感じかもしれない。


 「もう性別は分かるんですか?」


 「両方よ」


 にっこりと笑みを張り付けた母様がピースしながら答えた。


 「両方ってことは双子ですか!」


 「またまた正解ね。双子のお兄ちゃん、どんな気分?」


 聞いたばかりだからまだ実感が湧かないけど。


 「一緒に世話したいです!」


 おむつ変えたり、お風呂入れたり、寝かしつけたり。


 「頼もしいわ。お願いね」


 「はい!」


 頭を撫でられました。

 お兄ちゃん頑張ります。


 「アイリーゼはお姉ちゃんになるんだね。どんな気持ち?」


 なんとなく問いかけてみると。


 「楽しみです!」


 と、両手をグーにして気合が入っているみたいだった。


 「そっか。うん、楽しみだね」


 アイリーゼの言葉通りの事を理解した。

 生まれるその日までドキドキワクワクしながら待とうと思った。


 「母様、つわりは過ぎたんですか?」


 今からご飯だから、ちょうどいい話題が浮かんだ。


 「ええ。普通よりちょっと軽めだけど食べられようになったわ」


 「そうですか。良かった」


 ほっと一安心。

 食べられないと栄養が採れないもんね。

 しかも追加で二人分も必要になるから、重要だよね。


 今日の昼ご飯は何かなと考えていたら運ばれてきた。

 牛丼と味噌汁とサラダでした。

 美味しそう。


 いただきますと合掌した後、静かに昼ご飯が始まりました。

 まずはサラダから。

 ドレッシングはセルフらしく、テーブルの上に何種類かのボトルが置かれていた。

 何のフレーバーがあるのかな。


 ゴマ、フレンチ、シーザーと青じその四種類だった。

 オーソドックスにゴマにしようかな。

 知ってる牛丼屋に置いてある二種類のドレッシングの内の一つだもんね。


 ドレッシングをかけてから、サラダに手を付けた。

 うん、香ばしいゴマの風味がサラダの野菜と手を組んで美味しくなってる。

 ゴマドレを選んで良かった。


 サラダが終わった所で味噌汁を一口。

 うん、これも美味しい。

 具はワカメと豆腐のシンプルな組み合わせでした。


 そしてメインの牛丼を食べる。

 温玉が乗ってたので、それを崩して混ぜてから。

 紅ショウガと七味をかけるのを忘れずに。


 マイルドと少しスパイシーな風味を感じました。

 温玉のマイルドさと七味のスパイシーさ。

 両方が合わさって良い感じになってます。

 文句なしの美味しさです。


 ガツガツと無言で食していく。

 僕以外の他の皆様も牛丼に夢中になってるみたい。


 今日の食事当番の爺様と婆様に感謝を。


 全員が完食した所で皆でご馳走様を言い、昼食が終わった。


 食べ終わった食器は自分たちで台所へ持って行く。

 そしてそれらは食洗器の中へ。

 皿洗いの負担がほぼなくて良いよね。

 こっちにも食洗器があって本当に良かった。


 食洗器がいつ頃導入されたのかちょっと気になった。

 それとも自然に開発されたのかな。

 どっちなんだろうか。


 というか、最初にこの地に降り立った人達はどれくらいの文明レベルの人達だったのかな。

 創始者が彼らに科学力の高い家電を渡したのは確かだと思う。

 特にここ、科学に特化した国であるアピテタのエアル領に住む者として気になるところ。


 「父様、母様、双子の名前はもう決まってるんですか?」


 一番気になってることを問いかけてみれば、


 「ああ、決まっている。男の子がウォレックで女の子がピアーネだ」


 とそうアッサリと明かされた名前に大きく一つ頷いた。


 「良い響きがする名前ですね」


 こちらでの命名は何を重視してるか分からないけど、良い音がすると思ったのは確か。


 「略名もですか?」


 「ええ。EcでエクとAnでアンよ」


 「母様、お腹に触れても良いですか?」


 「もちろんよ」


 そっと母様のお腹に触れる。

 もう胎動はしてるのかな。


 「ウォレック、ピアーネ、お兄ちゃんですよー」


 声をかけながら撫でると、ポコッとお腹が動いた。


 「返事してくれたみたいですね」


 「ええ。リンクスももう感じるのかしら?」


 「それっぽいのは感じてますが」


 フワッと少し暖かい感じの力が微かに。

 多分これがリンクスじゃないかなと思うんだけど。


 「母様自身と双子から感じてるものだと思います。フワッと温かく感じます。それともこれって魔力ですかね?」


 「リンクスは魔力の一部だから合ってるぞ」


 ガッツポーズをして喜んでしまった。


 「そうでしたか!じゃあ、僕が入院中でも感じてたということは……」


 ぬか喜びじゃないってことだよね。


 「ああ、リンクスの部分の魔力を感じてたということだ。魔力の本質的な部分じゃないんだが。ん、説明が難しいな」


 魔力の一部だけど、それは本質的な魔力じゃない、とそういうことなのかな。

 確かに父様の説明をきいても難解で良く分からない。


 「とりあえず、魔力の一部が反応しているということですよね?」


 「ああ、それで合ってる。まだ解明されてないことが多くてな」


 リンクスは魔力の一部分で、まだ解明されてないことが多い力だということ。

 つまり魔力はまだ完全には解明されていないということが明らかになったわけだけど。


 「なるほど、そういうことですか」


 脳がどういう仕組みなのか完全には判明してないのと似てるかな。

 とはいえ魔力がどんな働きをしているか完全に明かされていたら、それはそれで凄いと思う。


 あのフィクションで読んだように、体の中に魔力を蓄える魔臓があったりするのかな。

 でもそれだけじゃなくて、それを通す血管も必要な気がする。


 「あの、身体の中に魔力を蓄える器官はあったりするんですか?」


 気になったのでストレートに聞いてみることにした。


 「魔力は魔血管を通して常時流れている。だから蓄える器官はないとされているな」


 「魔力が巡り始める始点はどこなんですか?」


 血管で循環しているというのなら。


 「空気のように鼻から吸収して、脳や胸、腕などの上半身から下半身を経由して足の指から放出されていると言われている」


 なるほど、見事な循環路ですね。

 空気と同じように呼吸で吸引されるとは思ってませんでした。

 てっきり手の指から足の指へと流れているもんだと。


 留学先では実践重視だったので、そういった基本的な部分は教わらなかった。

 きっと師匠なら問いかければ教えてくれただろうことだよね。

 教わってたら多分、呼吸を意識して荒くなっていた可能性大。

 今の僕のように。


 「普段の呼吸と魔力吸収量は変わらないらしいから、そこまで意識する必要はない」


 「分かりました」


 ワザと呼吸を大きく吸ってみてみたけど不必要だったらしい。

 多く吸収したい時はどうすればいいのかな。

 といっても、多く吸ったからといって凄い魔法を行使するとかじゃないんだけど。

 多く吸収したら何が出来るのか知りたかった、ただそれだけ。


 「ウォレック、ピアーネ、お兄ちゃんの魔力ですよー」


 指に魔力を乗せて、母様のお腹を触った。


 すると、双子がお腹の中でグルっと複雑な動きをした。

 何に関してこんな反応になったのかな。

 魔力を感じたことへの対応だったりして。


 「感じたみたいね」


 「やっぱりそうでしたか」


 直ぐに反応してくれたので嬉しくなった。


 「私も!」


 アイリーゼが負けじと魔力のこもった手で母様のお腹を触れてきたので場所を譲った。


 「ウォレック、ピアーネ、お姉ちゃんですよー」


 と言った途端、アイリーゼが軽くジャンプした。

 反応に驚いたのかな。


 「動きました!」


 「お姉ちゃんだと認識されてるね。良かった」


 「はい!」


 反応が良くて何より。

 会う日が楽しみになってきました。


 「誕生前から仲良しね」


 「誕生後も仲良しになりますよ」


 「そうね、そうしてね」


 「「はい!」」


 アイリーゼと一緒に元気よく返事をした。

 早く出産日が来てほしい。


 双子は僕とアイリーゼみたいに髪と瞳に両親の特徴があるのかな。

 それとも爺様と婆様の色を受け継いでくるのかな。


 法則があるとは限らないけど、気になる。

 伯母様と叔父様はどうだったっけと思い返すけど、詳しくは思い出せなかった。

 髪色がひいひい婆様とひい婆様だった気がするけど。

 となると、ひい婆様と婆様の髪色になるのかな。


 生まれてくるまでカレンダーでカウントダウンでもしようかな。


 「予定日っていつなんですか?」


 「水無月の下旬よ」


 今は皐月だから来月。

 もう直ぐだ、待ち遠しいな。

 どんな子たちが生まれてくるのか期待しかない。


 「父様は出産に立ち会うんですか?」


 「ああ。もう休暇も採れてるし、準備万端だ。ユートとアイリーゼは待合室で待つことになるな」


 「了解です」


 多分僕が入院していた病院と同じ病院だと思われる。


 「兄様と一緒に待ちます!」


 「うん。良い子にしてるんだぞ」


 父様が僕たち二人の頭を撫でながら言った。


 「「はい!」」


 またしても返事が被った。


 僕とアイリーゼもこんな感じで仲良いし、きっと双子も仲良くなれるはず。

 生まれてくる日を心待ちにしながら過ごそう、そうしよう。


 母子ともに元気に生まれてきてくれますようにと願った。


お読みいただきありがとうございました。

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