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25-3カルトゥズへ

宜しくお願いします。




  「それじゃあ、今日は念話を教えていく」


 「はい、お願いします!」


 憧れていた念話に初チャレンジです。

 気分が凄く盛り上がってます。


 「まずは受信からな」

 ”受信テステス。受信テスト”


 「聞こえてます!テスト受信しました!」


 すんなりスっと聞こえてきて感動した。


 「あれ、もう受信したことあった?」


 「いえ、初めてだと思います。記憶がある限りですけど」


 「じゃ、問題は送信か。俺に送信してみてくれ。脳から電波が出てるようなイメージで」


 「はい」


 師匠に倣って送信テストをしてみたけど、不意に終わった。


 「流石に送信はそう簡単にはいかないか。あいうえおでもいいから、送るイメージを持って」


 「はい、試します」


 心の中であいうえおを言ってみたけど、流石に上手くいかなかった。

 受信はあんなに簡単に出来たのに、なんでかな。


 手を頭の上に置いて、集中する。

 あ、い、う、え、お。


 送れた手ごたえがない。

 脳から念じた言葉が送り届けられるように想像する。

 こんなに近くにいる師匠に送る短い言葉。


 「もしかしたら、俺じゃなくて不特定の相手に送るのがいいのかもしれない。どこかの誰かに送る感じでやってごらん」


 「どこにいるか分からない誰かに送るという事ですか?」


 「ああ。過去に受信した相手がいれば、その相手に送信できるはずだ。想像に過ぎないんだが」


 「はい、試してみます」


 名前も知らないどこかの誰かに私からのメッセージを送る。

 本当に過去に受信したことがあったのかな。

 まったく覚えてないんだけど。


 あいうえお。

 あ、い、う、え、お。


 ”あ、い”


 そこまで送ったところで、地面に手を突いて激突するのを間一髪で避けた。


 「ユート、またか」


 また軽く気を失ったみたい。

 たった二文字で気絶とか、しゃれにならない。


 立ち上がって、膝をはらってから師匠の方に向いた。


 ”テステス。送信テスト”


 「送信確かに。できたな、ユート」


 頭を撫でられながら褒められて少し照れた。


 「はい。どこかの誰かにたった二文字の念話を送りましたけど」


 「ああ、それで解禁したみたいだな。よくやった」


 ”ありがとうございます”

 「ちゃんと送れましたね」


 ”ああ、おめでとう。今晩は記念に焼肉にしようか”


 ”嬉しいです!”


 「うん、ちゃんと送れてるな。念話がクリアしたとなると、次から最終段階に進む」


 私の魔法修行のラストステージということ。

 気を抜かずに一生懸命頑張ろう。


 「はい、頑張ります!」


 最後の関門は何になるのかな。


 「魔法で光球を作り出し、横八の字に宙に浮かべ移動させるんだ」


 随分とハードルが上がったような気がするんだけど気のせいかな。


 参考にと師匠が光球を作り出し、宙に浮かせ、横に向けた八の字を描いた。


 「これは帰国してからも続けて欲しい練習になる」


 指先に光を灯し、その先のやり方で壁にぶち当たった。

 どうやった宙に浮かせられるんだろう。


 「見えない糸で繋がっているような感覚だ」


 人差し指の少し上に光球を繰り出す師匠。

 自由自在に光の球を動かして見せてくれた。


 エキスパートになったら物凄い速さで出来るようになるんだろうね。

 今はまだ素人を卒業したくらいだから出来てないけど。


 指先に魔力を集中させる。

 少し温度を高く意識し、光を灯す。

 そこから指の上に光の球が浮いているようにイメージする。


 あっと、イメージだけじゃダメなんだっけ。

 魔力を持ったまま感知しなきゃなんだよね。


 浮け、宙に浮くんだっ。

 と言っても、直ぐに出来るわけはなかった。

 流石最終段階の難題、そう簡単にはいかなかった。




 進展のないまま二週間が過ぎた。

 そんな中、今日はなんとシストゥーリの誕生日らしい。

 プレゼントを買ってないんだけど。


 と思ったら、師匠がケーキを作るのを手伝うように言ってくれた。

 どんなケーキかといえばショートケーキでした。

 イチゴをカットしたり、クリームを泡立てたり。

 可能な限り手伝いました。


 「「お誕生日おめでとう!」」


 師匠と二人でシストゥーリ君の誕生日を祝った。

 プレゼントは手作りのショートケーキのみだけど大丈夫かな。


 「ありがとうございます!」


 「プレゼントにケーキを焼いた。食べてくれ」


 師匠が冷蔵庫に入れてあったケーキを取り出して、ナイフを渡した。

 シストゥーリ君は慎重にケーキにナイフを入れてカットした。


 「美味しそう!」


 気に入ってくれたみたい、良かった。

 人数分のカットを終え、やり切った表情をしているシストゥーリ君。


 「いただきます!」


 三人でカットされたケーキを食べる。

 スポンジはフワフワで、イチゴとクリームの相性も良く、とても美味しかった。

 シストゥーリ君がおかわりするくらい美味くできてて良かったと胸をなでおろした。

 ケーキは翌日の晩御飯後のデザートにも出たけど、変わらず美味しかった。




 なんとか光球を指から生み出せるようになった。

 そこから動かせるかどうかはまた別問題だけど。

 案の定、イメージだけではダメでした。

 魔力が巡っているのを感知し、動かすけど。


 「直接触れて動かせるようになってから、空中で動かせるようになるんだ。段階を踏んで出来るようになる」


 「はい!」


 まずは触れて移動させる段階ということだよね。

 指で動かそうとしてみたけど、指が通り抜けてしまった。

 光球の中の重さを感じなかった原因はこれかな。


 集中して光球の中身も一緒に生成するようにしなきゃ。

 身が詰まった光球を、魔力が詰まった光球を作ることに集中。

 指先から魔力が光球の中に入っていくのを感じた。

 良い感じかもしれない。


 宙に浮いてる光球を指で触れてみると、今度は通り抜けず、触れられた。

 やった、第二段階に進められそう。


 手で光球を潰して消すと、魔力が散ったのを感じた。

 空気以外の中身のあるシャボン玉みたい。

 もしくはギッシリと水の入った水風船みたいなものかな。


 ツンツンと、指先で生み出した光球を動かしてみる。

 フワフワと浮きながら微かに動く光球。

 この状態から自由自在に動かせるようにしなきゃなんだよね。

 どうやれば良いのかさっぱり分からない。


 「師匠、どうすれば動かせるんですか?ヒントを下さい」


 「前にも言ったが、見えない糸で繋がってる感覚だ。始めは振り子のような感じだな」


 浮いてるから上に考えてたけど、振り子というなら掌の下に浮いてる状況を思い浮かべた。

 ぶらんぶらんと左右に揺れているように。


 何度か試してみてると、ほんのちょっとだけど動くようになった。

 魔力が少なくないから何度も試すことが出来た。




 試し始めてから三日、日を追うごとに光球の動かせる範囲が広がってきた。

 更に一週間が過ぎ、簡易的な振り子が出来るようになった。

 左右に動かせるということです。

 後は八の字を書けるように頑張らなきゃ。


 またまた一週間が過ぎ、今度は不格好だけど空中に八の字を書けるようになりました。

 まだ下に浮かべている状態だから、今度は上に浮いてる状態から書けるようにならなきゃね。

 光球を浮かべて左右に動かせてみると直ぐに出来た。

 この調子なら今日中に上に浮かべての八の字、いけるかな。


 三日過ぎた所で突然できるようになった。


 「師匠、見て下さい!」


 光球で空中に八の字を描いた。


 「おお、見事なもんだ。最終段階、その一クリアだな」


 「その一ってことは、まだあるってことですよね」


 「ああ。光球の代わりに火の玉でも出来るように特訓するぞ」


 火の玉ってことは、ライターからの松明的なことかな。


 「はい!」


 温度が上がっていく感じで光球が火の玉に変化した。

 思っていたより簡単に変化して一安心。

 熱さはさほど感じず、手を離れた時点から感じるようになった。


 「あっつ!」


 火の玉、思っていた以上にコントロールが大変かも。

 手から離れてすぐ高温になるので、直ぐある程度の距離を取らないとダメっぽい。


 「残る八属性もあるんだ、ポンポン行くぞ」


 「はい!」


 光、火ときて次は何かな。

 水、風、氷、雷、闇、土、無とあるけど、全部できるようになれってこと?

 気合を入れて頑張らねば。

 流石一つや二つの属性しか扱えない一般的なファンタジー小説とは話が違うだけあるね。

 普通に全属性使えるようになれってことだから。


 火の玉を再度繰り出して、宙に浮かべて八の字を描く。

 シストゥーリが水の魔法を使って私の魔法を相殺した。


 なんとか全属性の球を作って宙に浮かべて八の字を描けた。

 シストゥーリが全部反対属性の球を作って相殺したけど。


 「師匠、全部できました!」


 「ああ、見てた。良くできたな」


 頭を撫でられながら褒められて少し照れたのと同時に達成感を噛み締めた。


 「この次は何ですか?」


 「ない。卒業だ。デルグランツに連絡する」


 「そうですか……」


 少し落ち込んだ。

 ここでの生活が気に入っていただけある。


 「後は繰り返し反復練習をすれば良いんだが。不服か?」


 「いえ。反復練習を頑張ります」


 「そうしてくれ。後、こんなのもありだぞ」


 両方の手で違う属性魔法をの球を繰り出し、八の字を描いてから合わせて相殺させた。


 「凄いです。出来るように頑張ります」


 「ああ。欠かさず練習していれば、すぐにでも出来るようになる」


 「はい!」


 どれくらいかかるか分からないけど、何事もチャレンジだ。


 「僕より後に来て先に卒業なんて凄いな」


 シストゥーリの言葉に気合が入った。


 「いや、シストゥーリ、お前も卒業だ」


 一瞬体の動きがフリーズしてからしばらく、再度動き出した。


 「えっ、本当ですか!?」


 「ああ。ユートの魔法を相殺していただろう?あれが問題なく出来るなら卒業だ」


 「ありがとうございます!」


 少し残念がった私と違って、シストゥーリは嬉しそうだった。

 家に帰れるのを喜んでるのかな、満面の笑みを見せていた。


 「そろそろここから撤収しようと思ってたからな。よくやったな、二人とも。全員で帰ろう」


 「「はい!」」


 シストゥーリと一緒に仲良く同時に応えていた。


 「次に会う時はシストゥーリじゃなくてウルって呼んでね。略名なんだ」


 「了解。私も。私もレイって呼んで」


 「了解、レイ。でも、私って……」


 「おかしかった?」


 「女の子っぽくない?」


 そう言われて一瞬考えた。

 男でも私呼びの人はいると思うんだけど、違ったかな。


 「シストゥーリ、男でも私呼びしている人は珍しくない。ユートのこと突っ込むな」


 「え、そう?気を付けまーす」


 「やっぱ僕呼びした方が良さげ?」


 気になったので聞くと。


 「僕にはその方が自然にきこえる。師匠は?」


 首を軽く横に振った師匠がいた。


 「どちらでも大丈夫だ。無理に変える必要はない。憑依していたのの影響だろう?」


 「だと思います。妹といる時は自然と僕呼びになるので、本来はそうなのかもしれませんが」


 意識しなくても自然と僕呼びをしている。


 「じゃあ、僕呼びした方がいいんじゃない?」


 やっぱりそうなるよね。


 「魔法だけじゃなく、僕呼びも頑張るよ」


 自然とそうできるように。


 「そうと決めたなら、そうしなさい。無理はしていないな?」


 「軽く意識する程度なので大丈夫だと思います」


 僕、僕、僕。

 うん、大丈夫そう。

 今後は私と呼ばないように気を付けよう。


 「ありがとう、ウル。踏ん切りがついたよ」


 「良かったよ、レイ。これから頑張って」


 「うん」


 返事と同時に大きく頷いた。


 「それじゃあ、デルグランツに念話するな。ユートもするか?」


 「遠方の人にはどうやってやるんですか?」


 「それがまだだったか。念話をする人のことを思い浮かべながらするんだ。やってごらん」


 「はい」


 頷いてから、爺様の事を思い浮かべた。

 そうして。


 ”爺様、ユートです。今お時間大丈夫ですか?”


 ”おお、ユート。大丈夫だ。どうしたんだ?”


 無事、爺様と念話が繋げたみたい。

 良かった。


 ”修業が卒業となって帰還令が出されました”


 ”そうか、おめでとう。早くて明後日迎えに行ける”


 ”分かりました。お願いします。師匠に伝えますね”

 「師匠、早くて明後日だそうです」


 「了解だ。明後日ここを撤収し、全員で帰宅しよう」


 「「はい!」」


 明後日か、楽しみだな。

 帰ったらまずお風呂に入ろう。

 ここではずっとシャワーだったからね。


 「シストゥーリは帰ったらまず何をしたい?」


 「お風呂かな。ずっとシャワーだったから」


 「同じだ。考えることは一緒だね」


 「俺も風呂だな」


 師匠もとは。

 全員の気持ちが一緒でした。

 早く入りたいな。


 明日は最後の滝行かな。

 帰るとなると、直ぐにしたいことややりたいことが思い浮かぶ。


 アイリーゼと一緒に寝たいなとか。

 なんだかんだで寂しかったらしい。


 家族全員で風呂も良いね。

 早く帰って実行したいな。








~Side???~



  ”あ、い”


 「誰?」


 問いかけたけど、返事があるわけもなく。


 「シュアリン、どうしたの?」


 お母さんからの問いには。


 「見知らぬ誰かから念話がきたの」


 そのままの事を伝えた。


 「方角は分かる?」


 手を上げて、指でどっちから来たかを示す。


 「あっち」


 「南東ね。となると、カルトゥズかオムディアンドね。内容は?」


 確かに南東の国外となるとカルトゥズかオムディアンドになる。

 そして反応は確かに国外からだったような気がする。


 「あ、い、だけ。赤ん坊でも出来そうな感じ」


 「そうね、全年齢が可能ね。それ以降は?」


 首を横に振りながら答える。


 「来てないよ。見知らぬ私に送信できたから、今は知ってる身近な人に実践してるんじゃない?」


 「そうかもしれないわね」


 もう来ないと思う。

 一回繋がっただけで、後はその感覚がなくなるから。

 私も送信できて以降は初めての人に送れてないから。

 送ろうとも思ってないせいかもしれないけど。


 「私みたいな例だと思う」


 「恐らくそうでしょうね。まぁ、気にすることはないわ」


 「うん、気にしないでおくね」


 その後に運命の人説があることが発覚するけど、その時の私は忘れることにした。

 実際に運命の人になる人に送れてることが分かるんだけど、それはまた別の話。

お読みいただきありがとうございました。

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