表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/48

23霜降り肉に光を

宜しくお願いします。



  今日は社会見学を兼ねて牧場に来ています。

 付き添いは父様、母様とアイリーゼ。

 勉強目的だけど先生は付いてきていません。


 定番のエサやりや、乳搾りを体験させてもらいました。

 乳牛はお馴染みの白と黒のぶちになっている牛で、その他の黒や茶色、白っぽい色の牛は食肉用らしいです。

 どれが霜降り牛の元なのか、気になりました。


 「わ、霜降り肉だ!美味しそう~」


 一通り回って、直販の店に入った所で霜降り肉を見つけた。

 こちらでは初のご対面です。

 ステーキや焼肉は普通の赤みが多い肉を使用している。

 こちらでは霜降りがないのかもなんて思ったけど、ちゃんと存在してた。


 「霜降りは邪道扱いだが、ユートは食べたことがあるんだな?」


 「はい、憑依中に。物凄く高額だったので、こちらのこの値段は破格だと思います」


 百グラム五十円とか書いてあるよ、マジですか。


 「もしかして食べたことないんですか?」


 「ああ、ないな。いつも大体普通の赤みの肉を食している」


 「勿体ない。霜降り、凄く美味しいんですよ。元の身体に戻ってから食べたことは無いんですけど。

 焼肉とかステーキとか他の肉料理でも絶品のはずです。というか、こんな安売りないですよ。

 父様、購入禁止とかではないなら買ってください」


 「そんなに力説するほどか。分かった、買おう。どの部位が良いんだ?」


 「ステーキならサーロインですかね。他焼肉とかはカルビやタン、ロースも良いですね。食べたい部位が沢山あって決めきれません」


 「そうか。じゃあ、とりあえずこの特売のサーロインとロースを二キロずつ。ええい、カルビとタンも二キロずつ!」


 途中で自棄になったのか、父様が声を荒げて注文した。

 一体どうしたんだろうか。


 「父様?大丈夫ですか?」


 「美味しい物を知らなかった俺個人への怒りがな」


 拳をグッと握って怒りを抑えているように見えた。


 「今日知れるんだから良いじゃないですか?」


 対して僕は軽めに応じた。


 「そうだな。今日の晩御飯、楽しみだな」


 「はい!」


 今晩の調理の担当は僕らだ。

 焼肉風に出来ればいいんだけど。


 「焼肉用に炭と七輪ってありましたっけ?なければカセットコンロとフライパンで代用できますが」


 「カセットコンロとフライパンの代用案を採用だな」


 「分かりました。じゃあ、後は何かサラダとご飯だけですね」


 「汁物も加えよう。シンプルに味噌汁な」


 父様の案に大きく頷いて答えた。


 「いいですね」


 「後はソフトクリームね」


 母様がオヤツの案を出してきた。


 「大賛成!」


 「わーい!」


 アイリーゼからも歓声が上がった。


 「後、ソフトクリーム四つで」


 「かしこまりました」


 計四キロの肉とソフトクリームを貰って店を後にした。


 「ここの肉、ブランドなんですか?」


 「評価は高くないがエアル牛という名で流通してる」


 ソフトクリームを受取りながら喋る。

 一口食べて、その美味さに何回も頷いてしまった。

 まだ食べていないけど、肉だけじゃなくてソフトクリームも凄く美味しかった。


 「ここにある霜降りと同じなんですか?」


 「ああ。赤み肉の方が評価が高いから、物凄く低評価だが」


 地球の海外と同じ感じかな。

 霜降りが高評価な日本とは違うみたい。


 「絶やしちゃダメですよ、霜降り。これから脚光を浴びせないとです!」


 「分かるが、どうやるんだ?」


 父様の疑問に少し考える。


 「温泉旅館の晩御飯メニューに取り入れるのはどうですか?目玉になるはずです」


 こんなに安いんだから、一泊食二食の事付きの中に入れれば大きいと思った。

 朝はシンプルにビュッフェ形式にして、晩御飯の肉料理は個室で提供すれば良いんじゃないかな。


 「他は懇意にしている焼肉屋などに卸す方法はどうでしょう?」


 そういう店があれば、だけど。


 「なるほど、いいな。早速帰ったら上に提案してみよう」


 「父様、思い出しました。ハラミも二キロお願いします」


 「ハラミか、分かった」


 直営店に戻り、オーダーする。


 「ハラミを二キロお願いします」


 「かしこまりました。沢山ご購入いただき、ありがとうございます」


 お礼を言われてしまった。

 それだけ霜降り肉は評判が良くないということなのかな。

 店で提供されたら絶対高評価もらえると思うんだけど。

 霜降り肉が日の目を見る日が楽しみになって来た。


 肉を手に直営店を後にした。

 早く肉を冷蔵庫に入れなくちゃね。

 牧場から家まで約三十分。

 肉を大きな冷蔵用のバッグに入れてもらったので、少しはマシかもしれない。


 「豚肉だけじゃなくて牛肉もちゃんとありましたね」


 「ああ、エアル豚が有名過ぎるんだろうな」


 確かに。

 普通にスーパーでも売られているみたいだし。

 直営店に行かなきゃ売っていない霜降り肉と凄い違いですね。


 本当はエアル豚の見学もしたかったけど、そっちは一般には受け入れられてないらしく、ダメだった。

 豚の方が牛より繊細なのかもしれない。


 この牧場は牛専門らしく、一般見学も自由だった。

 他に鶏もいるかなと思ったけど、いなかった。


 また機会があれば今度は鶏を飼育している牧場に行ってみたいな。

 新鮮な卵を是非直販価格で購入したいと思った次第。


 それにしても、百グラム五十円は安い。

 それでも儲けが出てるんだろうから、あの価格なんだよね。

 一キロ買っても五百円とか、地球じゃあり得ない。


 「こっちでも肉の等級ってあるんですか?」


 「等級?特上とかそういう話か?」


 「地球だと牛の最高等級はA五ランクでした」


 最高級で値段もお高めだったはず。

 恐らく百グラム当たり千円以上はしたと思う。


 「こちらでは一番上は特上だ。初級、下級、中級、上級、特上級となっている」


 「学校みたいなんですね。それで、その肉のランクって分かりますか?」


 初めて購入した霜降り肉のランクは果たして。


 「特上級みたいだ。意外とお得だったな」


 特上と書かれたシールが貼られていたのを確認した。


 「最高級を百グラム五十円は安すぎると思います!」


 せめて百円以上にした方がという思いが強い。


 「そうしないと売れないんだろう。赤み肉の方が食べられるから高い」


 赤み肉の方はそっちのけだったから、百グラムいくらかは見てなかった。

 もっとちゃんと見とけばよかったな。


 「いつも購入しているスーパーの赤み肉はいくらするんですか?」


 「いや、肉は直接家に売りに来ているから高い。百グラム千円越えだ」


 「マジですか。相当な贅沢をしていたということになりますね」


 「そうなるのかな。調理法は主にステーキだからそうかもしれないな」


 家族全員分と考えると軽く一万円は超えてると思われる。

 今回購入した霜降り肉とスイッチできればいいけど。

 そう上手くいくかが問題です。


 「ユート、霜降り肉ってそんなに美味しいの?」


 「噛むと脂身が肉汁とともにジュワっと溶けて、柔らかくて美味しいですよ。食べれば分かります」


 考えるだけで涎が出そうになる。

 焼肉にして食べるのが物凄く楽しみだ。

 こっちの霜降りはどんな味がするのかな。


 「そうなの。それは楽しみね」


 「はい!」


 あ、牛脂を貰うのを忘れてた、どうしよう。


 「父様、袋の中に牛脂はありますか?」


 「牛脂?この白いので合ってるか?」


 父様が手に取り見せてくれた。

 見事に小袋に入った牛脂だった。


 「あ、ありましたか、良かった」


 「五つで足りるか?」


 「丁度いい感じです」


 ひとまず、ほっと一安心。

 普通のサラダ油で焼くのと、牛脂で焼くのじゃ全然違うだろうから。

 食べる時の楽しみが増した。


 七輪の網の上で焼くのが一番だけど、ないからカセットコンロを使用したフライパンでも大丈夫。

 ちゃんと人数分あるのか疑問だけど、きっと大丈夫だと思われる。

 二人で一つのフライパンの計算で良さそう。




 そうして迎えた晩御飯の時間。

 タンは塩をまぶしており、ロース、カルビとハラミは焼肉のたれに漬け込んである。

 これで肉の準備は完了。


 後は添え物の野菜をカットすればいいだけ。

 玉ねぎ、ナス、カボチャ、ピーマンなどなど。

 まずは肉だけど、その後から食べる野菜もまずまずだよね。


 いただきますの号令の後、牛脂をフライパンに乗せて溶かす。

 そして一番目はタンから焼いていく。

 ちゃんとタン用にレモン汁も用意した。


 うん、さっぱりした感じで美味しい。

 タンは霜降りかどうか判別が難しい。

 とにかく美味しかったので問題なしです。


 お次はロース。

 レア位の焼き具合で、焼肉のたれに付けて食べる。

 うん、ジュワッと肉汁が溢れてきて美味しい!


 端の方に野菜も載せてじっくりと焼く。

 肉ばかりじゃバランスが偏るからね。


 さぁ、お待ちかねのカルビです。

 ジュージューと焼けるいい音がする。

 焼肉のたれの下味も良い感じのにおいを醸し出している。

 これもレア位で食べちゃおう。


 うん、うん!

 これだよ、これ!

 自分の身体に戻ってから食べる焼肉は絶品でした。

 カルビの次に食べたハラミも最高に美味しかった。


 焦げる前に焼き野菜も食べて、一息ついた。

 焼肉屋に行ったみたいな美味しさを提供されました。

 おうち焼肉万歳!


 食べるのに夢中になりすぎて、他の家族の反応を見るのを忘れてた。

 僕と同じようにちゃんと味わって食べられたかな。


 遅ればせながら皆の表情を見ると、まったりしていた。

 つまりどういうこと?


 「父様、霜降り肉どうでした?」


 「今まで食べてこなかったのが不思議なくらい美味かった」


 満足そうな表情で言われたのでホッと一息。

 気に入っていただけたようで何よりです。

 他の家族もそうかな。

 それとも脂が多いのは年配者にとってはきつかったかな。


 「ひいひい爺様、どうでした?」


 「ネルトールと同じ感想になるな。これから焼肉といったらこの霜降り肉を採用しよう。とっても美味しかった」


 「良かったです」


 危惧していた問題はなかったみたいで一安心。

 これからもこの肉質を選んで食べられるみたいで良かった。

 以後、我がエアル家では焼肉とステーキでは霜降りが採用されるようになりました。

 やったね。

お読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ