20-3ウシムグ旅行
宜しくお願いします。
「よし、じゃあ、ティの実家まで出発!」
父様の言葉で、自動車が動き始めた。
予定としてはお昼を一緒にするらしい。
「ホテルを出たとメールしたわ」
「了解。外で待たれても大丈夫だな」
「可能性があるわね。ユートはともかく、アイリーゼもほぼ初めてだし」
「生まれた頃に一回お会いしてるんですよね?」
「ええ、そうよ。二人とも生まれたばかりの頃が最初で、以降はないわね。約九年ぶりの里帰りよ」
「そんなに帰ってなかったんですか」
「そうね。ユートが攫われて気落ちしてた頃にしばらく実家で過ごしたけれど、それが最後ね」
僕がさらわれた時って、約十年前のことだよね。
待望の赤ん坊が生まれたのに、それが誘拐されたとなると気が確かに落ちそう。
その間は父様と離れて過ごしたんだ、と少し寂しい気持ちになった。
「兄さんがいるわ」
家が見えたのかな、凄い視力が良いですね、母様。
「全員外で待っててくれてるな」
父様も視力が良いね。
僕も視力が悪い訳じゃないから探せば直ぐに見つかると思うんだけど。
「早く行きましょう」
それらしい人物を視線で捕らえた。
間もなく自動車が庭の隣に横付けして、停車した。
「ティーヤ、久しぶりだ」
「お父さん、久しぶり。元気だった?」
母様が父親の方に抱擁で出迎えられていた。
ちょっとオープンな所が海外みたいな感じかな。
続いて母親と思われる人と抱きしめ合った。
「お母さんも久しぶり。皆、元気?」
「心配しなくても皆元気だ。ほら、家族を紹介してくれ」
「うん。ネルはともかく、ユート」
「はい」
母様の隣にスタンバイ。
「アイリーゼも」
「はい!」
僕とは反対側の隣にスタンバイ。
「初めまして、ユートレイクス・エアルと申します。以後お見知りおきを」
はじめましての挨拶である。
「初めまして、アイリーゼ・エアルです。宜しくお願いします」
アイリーゼも同じように挨拶をした。
「初めましてネルトール・エアルです。今後ともお見知りおきを」
父様が会ったことのないイトコ達に挨拶した。
「初めまして、ティーヤ・エアルです。今後ともお見知りおきを」
母様が続いた。
これでエアル家側は全員挨拶を終えたことになる。
そういえば母様の旧姓って聞いてなかったかも。
「じゃあ、ウーアン家側も挨拶をせねばな」
と、一番年上っぽい濃い茶髪で赤目の男性が声を上げた。
そこから初めましてラッシュが始まり、全員が言い終わるまで約十分ほどかかった。
気になる従兄弟の名前だけど、上から濃い緑髪で茶色の目のザッシュ、茶髪で緑目のモンカス、金髪碧眼のリドリーの三人。
全員特級生で、地元の企業に就職予定らしい。
三人供ウシムグの王都にある学校に通っているそうだ。
初めてイグズ以外の学校に通ってる人達に会った。
といっても通っている例は父様達なんだけど。
唐突に三人供お相手はいるのかなと疑問に思った。
「お三方、彼女はいるんですか?」
ドストレートに聞いてみることにした。
だって気になったんです。
「僕は仮交際中だから、正しくは彼女じゃなくて付き合ってる人だね」
と、金髪碧眼のリドリーさんが言った。
どういうことだか、ちんぷんかんぷんです。
付き合ってる人で彼女じゃないって意味不明です。
付き合ってるイコール彼女じゃないんですか。
「俺も仮交際中。そろそろ更新してくれるとは思うんだけどな」
今度はザッシュさんがそう言った。
更新されたら正式に彼女になるということだよね。
相も変わらず仮交際が意味不明です。
「僕だけ独り身か。気になってる子はいるんだけど、脈がなさそうだから二の足を踏んでる最中だよ」
気になっている程度で始めるのが仮交際だと経験談を聞いている。
モンカスさんも付き合いが始まるのも時間の問題じゃないかな。
「頑張ってください」
「ああ、ありがとう。休み明けにアタックしてみるよ」
大きく頷き、両手をグーにして応えた。
「きっと大丈夫ですよ」
「だと良いけど」
若干弱気な笑みを返された。
自信なさげなのかな。
「ユートレイクスはいるの?」
「いません。同世代の女の子で会ったことあるのは従姉だけです」
そういうことがあり得る対象にまだ会ってない。
恐らくそういう出会いがありそうなのは学校に通い始めてからの話だと思う。
「その従姉に禁断の恋なんて」
「あり得ません。逆にちょっと苦手です」
飾らずにどストレートに答えた。
きつい感じがして苦手な部類になるかと。
顔は美人の部類だけど、あれは無しですね。
実際に付き合ったら苦労しそうな気がします。
「そっかそっか、それは良かった」
安心したように満面の笑みを浮かべたザッシュさんが僕の肩をバンバンと叩きながらそう言った。
どうやらエアルスフィアではいとこまで結婚できないみたい。
出来なくても全く問題は無いんだけどね。
いとこに完全に脈なしだから。
「ユートレイクス、何故交際関係を問うたんだ?」
「参考にしたくて。特級生なら彼女さんがいるかもしれないと思いまして」
「なるほどな。いい例になったか?」
「はい。急いで上級で彼女をとかなくて良さそうだとホッとしてます」
「そうだな。上級でなる必要はない。特級でも十分早い部類だ」
「そうですか、分かりました」
地球の晩婚からが適齢期みたいな感じだから、学校卒業後から本格的に始まるのかもしれない。
こっちの晩婚て何歳なんだろうという疑問が降ってわいた。
「晩婚って何歳以降なんですか?」
「二百超えかな。最低それまでには交際していたいよな」
モンカスさんがそう言った。
そこまで長引きそうなのかな。
「随分遅い感じなんですね」
交際だと結婚までまだ時間がかかりそうな気がするけど、大丈夫なのかな。
「ユート、来なさい」
「はい、ひい爺様」
呼ばれたので素直にひい爺様の元へ歩みを進めた。
「交際関係が気になるか?」
「どんな人と恋に落ちるのか楽しみで」
容姿が優れているこちらの人で、どんな子と落ちるのかワクワクしているだけ。
実際、同じ血を引いているイトコさん達もイケメンだもんな。
さぞモテていることだろう。
「そうか。出来ればユートの息子もこうして抱っこしたいな」
ひい爺様に抱き上げられ、膝の上に着地した。
「ひい爺様、今何歳なんですか?」
「百七十五だ」
「平均寿命までまだ大丈夫そうですね。頑張って恋に落ちて、可能な限り短い期間で子供を作りますね」
本当にお相手がどんな子になるんだか楽しみ。
父様や母様で目が肥えちゃってるから、かなりの美人さんじゃないとダメそう。
補佐役の人達もイケメンに美女ばかりだしね。
「最短なら俺達みたいに特級で仮交際出来てないと駄目だな」
「はい、頑張ります!」
「ます!」
アイリーゼも僕と同じように返事をしていた。
彼女も僕みたいに最短の交際期間で男女交際を希望しているのだろうか。
「アイリーゼも三十三歳で結婚するの?」
「え?ええと、はい!」
随分と早熟だなと思った。
「父様と母様みたいになるってことだよ。分かってる?」
「兄様と同じが良いです!」
うん、ちょっと分かってなさそう。
まだこの話題は三歳のアイリーゼには早かったかもしれない。
立派な美女候補だからモテて早めの交際が可能かもしれないけどね。
ちゃんと考えて交際して欲しいと願った。
「ひい爺様、抱っこ」
「おう、来なさい」
僕とは反対側の膝にアイリーゼが乗った。
「えへへ」
満面の笑みで嬉しそうにしているアイリーゼ。
なんでも同じなのがいいお年頃なのかもしれない。
「今度はじいじの膝においで?」
爺様がそう言ったので、素直にひい爺様の膝から降りて、爺様の膝に座った。
アイリーゼも僕に続いて爺様の膝に乗った。
「中々の重さだな。ちゃんと育っているようでなにより」
僕はまだちょっと年齢的には軽い方かもしれないけど、アイリーゼは年相応のはず。
そう言えば爺様は兄弟いないのかな。
「爺様は兄弟いないんですか?」
「妹が一人いる。縁爵領に家族と住んでるぞ」
妹ということは、大叔母様であってるかな。
はとこがいるってことだよね。
いつか会ったりするのかな。
「今回は面会を見送ったが、次回の機会には会おうと約束した」
「そうですか、楽しみです」
親戚勢ぞろい、沢山いそうな気がした。
「普段は皆さん一緒に住んでるんですか?」
「長男夫婦と子は一緒だが、それ以外は別だ」
つまりザッシュさんと両親は一緒に住んでるけど、モンカスさんとリドリーさんは別ってことだよね。
「そう遠くないところのマンションに住んでる」
とモンカスさんが言い、
「うちは近くの中古の一軒家だよ。歩いて来れる距離にある」
とリドリーさんが続いた。
「うちも歩いて来れる距離だね。今日も歩いてここに来た」
そうモンカスさんが言ったのに軽く頷いた。
エアル家の伯母様みたいに国が違うとかじゃないんだね。
同じ領内に住んでる叔父様の家族みたいなものかな。
「そろそろ中に入って昼食にしよう」
全員がはいと言い、いざ家の中へと。
仲良く準備してあったテーブルの前の椅子に着席する。
料理はもう出来ていて温めなおすだけだったみたい。
メニューはエビのチャーハンとトロトロの豚の角煮だった。
ガッツリ系ですね、分かります。
そして中華系の料理にまとまっているのに感動した。
このメニューになったのは食べ盛りがいるからかな。
イトコさん達結構食べそう。
案の定おかわりしてるし。
まだまだ成長期っぽそうな特級生だもんね。
そう言えば身長はいつまで伸びるのかな。
やっぱり日本の高校生みたいに、こっちの上級生くらいまでなのかな。
大学生でも伸びた人がいるらしいから、個人差がありそうだけど、こっちも同じかな。
僕は提供された分を食べ終わったところでお腹いっぱいになった。
大きくなったらおかわりするようになるのかな。
今も十分成長期だと思うんだけど。
退院してから何センチ伸びたかな。
帰ったら測ってみようっと。
将来何センチになるのかな。
憧れは百八十センチ以上だけど、そこまで伸びるかな。
今はチビだから、将来もチビで終わりそうな気がしないでもない。
どうかこっちの平均身長くらいは伸びますように。
調べたことないから平均が何センチか分からないけど。
イトコさん達は身長何センチなのかな。
目測で最低百七十くらいはありそうだけど。
ご馳走様を言ってから聞くことにした。
「ザッシュさん、モンカスさん、リドリーさん、身長どれくらいあるんですか?」
「ん?俺は百七十九。後一センチ伸びたら百八十だったのになぁ。足りなかった」
「僕は百七十六。丁度平均身長ピッタリだよ」
と言ったのはモンカスさん。
百七十六が平均身長なんだ、なるほど。
「僕は百七十八センチ。平均より伸びたかったから丁度だよ」
「僕も将来平均は伸びたいです。出来れば父様位には欲しいんですけど」
「俺は百八十一センチだ。沢山食べて沢山寝れば伸びるさ」
父様のその言葉に大きく頷き、
「頑張ります!」
と気合を入れて返事をした。
目指せ百八十センチ代。
「所で僕ばかり喋ってますけど、母様良いんですか?」
「ええ、大丈夫よ。念話してるから」
念話!
エスパーとかの超能力じゃなくて恐らく魔法だよね。
僕も使えるようになるのかな。
お読みいただきありがとうございました。




