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8-2交際手帳と

宜しくお願いします。




 そんな定年になるくらいの年齢で、ちゃんと結婚できてるのかな。

 早いことに越したことはないけど、残りの百九十年を一緒に歩む人を見つけられているのか謎だよね。


 「イグズ中央校に進学希望したそうだが、俺達全員イグズ中央校で出会ったから、そこは期待しても良いと思うぞ」


 「そうなんですね。まだ会ったことのない誰かに落ちる日を楽しみにしておきます」


 「そうするといい。一番近い出会いが多いのは特級だ。次いで上級となっている。過去四例だが、参考にするといい」


 「はい。あ、貴族なのを明かすと離れるとかなかったんですか?」


 卒業後にカミングアウトするだろうことをきいてみると。


 「私はなかったわね。一瞬だけ揺らいだくらいだわ」


 婆様は意外とアッサリしていたみたい。


 「揺らいでいたのか」


 対して爺様は知らなかったのか、ちょっと驚いているようだ。


 「得体のしれない感じだったからよ。その後詳細を根掘り葉掘り聞いたでしょう?それで揺らぎは消えたのよ」


 「なるほどな。そういうことだったか」


 爺様が腑に落ちたような反応を見せた。


 「ユート、一応気を付けておいた方が良いが、まだ先のことだから気長に構えてなさい」


 「はい、気を付けます」


 実際に迎えてみると結構なピンチを背負うことになるんだけど、それはまた後の話。

 迎えるかもしれないピンチに関して、この時の私は実に楽観的に考えていたと思う。

 この時のやり取りをすっかり忘れていたのだから。


 「そうだ、大事な物を渡すのを忘れていたな」


 爺様が私に手渡したのは、小さな手帳らしきもの。


 「ありがとうございます。これが交際手帳ですか?」


 カードよりは少し大きいけど、そこまでじゃない。

 小さいメモ帳くらいのサイズかな。


 「ああ。表紙が青いだろう?」


 「はい。男性の印ですね」


 男性は青く、女性は赤いときいている。

 そして緑色はどちらの性別か決まっていないとか。


 「説明は後ろにある。最初の方は日付と年月だな。交際手帳に関することは自動で書き込まれる」


 「それは凄いですね。訂正されることはあるんですか?」


 「学校の先生に記入できる力があると聞いたことがあるが、成否は不明だ」


 学校の先生にその力があるということ。

 普通の先生じゃ出来ないことが沢山できそう。


 出来れば一行のみの書き込みが良いなと夢想する。

 この手帳には結婚する相手である彼女とのことのみ記載されて欲しい。

 そう簡単にはいかないかもしれないけど。


 「あの、爺様と婆様は手帳に何人の名前が記載されたんですか?」


 「リルのみだ」


 「私もデルのみね」


 相手が一人だけの生き証人が居た。

 こんな近くに。


 「多いんですか?相手がたった一人というのは」


 「半々くらいだろうな。とはいえ、エアル家においては相手が一人なのが百パーセントだな。過去四例になるが」


 「父様と母様も一人だったんですね。良いな」


 出会って仮交際をしようと思った人が結婚しようと思った人とか夢みたい。


 「何かコツがあるんですか?」


 「仮交際の時点で交際してもおかしくない相手だったな」


 友達以上、恋人未満といった感じかな。


 「私もそうね。仮交際をしながら交際をしている気分だったわ。それでも様子見で一年更新を待ったけれど」


 「更新ということは仮交際から交際へと代わる感じですよね。なんで様子見したんですか?」


 「有頂天になってないか、冷静になる期間をね。そうやって一年考えて更新を決めたのよ。

 一時的な熱ならば一年くらいあれば冷めるでしょう?」


 熱しやすく冷めやすいという事例が起こっているということだよね。

 一年あれば確かに、ある程度冷めた目で自分を見つめなおすことが出来るかも。

 婆様、冷静だななんて感心した。


 「婆様、誰かからアドバイスか何か貰ったんですか?」


 「友達の経験談を取り入れたわね。一周年記念より前に冷めたとか、そういう話よ」


 「なるほど。実際の体験に勝るものなしですよね」


 恋愛は誰しもが通る道で、例外はないと思われる。

 彼氏彼女いない歴イコール年齢でも、話くらいは耳に挟んだことがあるはずだから。


 「交際に更新するのは女性側からだけなんですか?」


 「ええ、そうよ。ただ例外もあるけれど。仮交際を飛ばした場合の話よ」


 「ああ、確かにそうだな。交際はキスにキスで答えなくてはならないから相当難しいな」


 「口にする時、拒否したい場合は、突き飛ばすしかないじゃないですか」


 迫ってくる時に嫌とばかりに手を突っ張って拒否を示すしかないのでは。


 「いや、そう簡単な話じゃない。交際への更新は目を閉じて女性側からのキスを待つんだ」


 受け身で微動だにせずに待たなきゃなんだ。

 目を閉じてキスを待っている自分が想像できない。


 「意外と難しいんですね」


 「簡単な告白なんてないわよ。ユート、ちゃんと言いたいことは全部言うのよ?」


 「はい。その時が来たら、隠さず全部心情を吐露しようと思います」


 恋路を全て告白しようと心に決めた。

 どうやって恋に落ちたのかなど全て明かそうと決意した。


 「そうだな、それが良い」


 話の流れから、直ぐにでも恋愛関係に発展しそうだけど、実際は可能性はまったくない。

 病院から出たことないのに、交際手帳に書かれそうなことがあるはずないに決まってる。

 同じ患者と交際なんて先行き不安定に思えるし、実質無理なんじゃないかな。


 「仮交際って複数人と出来るんですね」


 「ああ。その中から交際への道を一つ選ぶ方法だな」


 正式な交際じゃないから複数人もありってことなのかな。

 最高何人とか決まってるのかな。


 「何人でも良いんですね?」


 「そうだな、制限はない」


 「最高三桁なんて聞いたことあるわ」


 どんだけモテるんだろうか、凄いことになっている。

 相手は多くても二桁だと思ってた。


 「それは凄いですね。解消するのも大変そうですが」


 「双方の了解があれば簡単に解消できるわ。もしくは交際へと更新された場合、他に仮交際していた人は強制解除されるの。

 もっとも、強制解除の前にある程度関係を解消してからの方が多いらしいわ。強制解除だとわだかまりがあるらしくてね」


 それは無理もないと思う。

 更新を考えているような人からしたら、あんまりな展開だから。


 「一対一の関係が一番ですね。強制解除も何もないですし」


 「そうだな。分かりやすくて、誠実な感じがして良い印象だな」


 爺様が同意してくれたように、やっぱり一対一の関係が良い気がする。

 エアルスフィア流の仮交際は避けて、惚れたたった一人に交際を申し込もうと一人決意した。

 いきなりキスで返答を待つのはどうかと思うけど。

 他の方法がないか探しておこう。

 時間は十二分にあるんだから。


 勝負はイグズ中央校に通い始めてからかな。

 中級四年、上級四年、特級六年の内のどれか。

 まずは出会って、それからになる。


 落ちてから恋を自覚するのにも時間がかかりそうだななんて思った。

お読みいただきありがとうございます。

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