表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/25

8話

 洞窟の中は静かだった。


 奥へ進むにつれ、壁に奇妙な模様が浮かび上がってくる。


 リディアが光の魔法を明るくすると、それが文字であることに気づいた。


「……これ、何かの文字?」


「分かるか?」


「……いいえ。初めて見るわね、何て書いてあるのかしら……」


 リディアが指で文字をなぞると、ぼんやりと光が揺れた。


 すると、かすかに壁が振動し、奥へと繋がる道が開いた。


「うわ、びっくりした!……偶然か?」


「わからないけど、行くしかないわね」


 俺たちはさらに奥へ進むことにした。



 しばらく歩くと、細い道の先に光が見えた。


「……出口か?」


「急ぎましょ」


 俺たちは足を速め、光の差す方へと駆け抜ける。


 そして、狭い岩の隙間を抜けた瞬間──。


 開けた森の中に飛び出した。


「やった……!」


「ようやく外に出られたな…

それじゃあ早く村の方へ戻ろうぜ。もう十分すぎるほど探検したし疲れた…」


「そうね……」


 俺たちは静かに歩き出した。



 村へ戻る道すがら、リディアがぽつりと呟いた。


「ねぇ、アレン……」


「ん?」


「私、やっぱりおかしいのかもしれない」


「……おかしいって、何が?」


「今日、魔法が暴走しかけたでしょ? 最近、前よりも魔力が強くなってる気がするの」


 リディアの声には、どこか不安が滲んでいた。


「でも、私、そんなにたくさん魔法の訓練をしたわけじゃないのよ?」


「……まぁ、確かに」


 リディアの魔法の才能は、村の誰もが知るところだった。


 でも、訓練もなしに急激に力が増すなんてことがあるのか?


「たまたまだろ。あんな魔物が相手だったから、無意識に力を引き出したんじゃねぇのか?」


「……そう、かしら」


 リディアは考え込むように小さく息をついた。


「ま、気にすんなよ。お前はすげぇ魔法が使えるんだから、ちょっとくらい変なことがあってもおかしくねぇだろ?」


「……ふふ、そう言われると、そんな気もしてくるわね」


 そう言って、リディアは小さく笑った。


 その笑顔を見て、俺は少し安心した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ