19話
俺は体に淡い光──“気”を発現することに成功した。
「さっきの発動、悪くなかった。けどな、気ってのは出すだけじゃ意味がない。使えなきゃ、ただ光ってるだけだ」
ガルヴィスは俺をまっすぐに見ながら言う。
「だから次はその“気”をまとった状態で、実際に動いてもらう。いいな?」
「わかった」
深く息を吸い、俺は目を閉じる。
先ほど感じたあの感覚を探るように、心を落ち着ける。
──心臓の奥、温かくて、じんわりとした感覚に燃えろと心の中で念じる。
すると──
ふわり、と体の内側から白い光が湧き上がる。
ガルヴィスが頷いた。
「よし、今は全身に気が巡ってる状態だ。この状態で身体能力は少し上がってる。だがな、全身に常に気を纏うってのは、思ってる以上に消耗が激しい」
「消耗……?」
「気を発動してる間は、生命エネルギーを燃やしてる。全身に出してりゃ、その分だけ消費も増える。だから上級者になってくると、腕だけとか脚だけとか、必要な部位にだけ気を流して、必要最低限の気で戦うんだ」
「そんなことできるのか?」
「ああ。でも、動きながら必要な分だけを自在に流すというのはめちゃくちゃ難しくてな、相当な訓練が必要だ。だからとりあえずはそんな使い方もあることを頭の片隅に置いといてくれればいい。お前は、まず“動きながら気を保つ”ことから始めろ」
「分かった」
木剣を握り直す。
足を動かす。すると……。
「……あれ?」
動いた瞬間、気がふっと消えてしまった。
また集中し直し、気を出す。
そして動く──しかしすぐに、また消える。
何度も繰り返すが、うまくいかない。
「……くそ、なんで……」
「力任せに維持しようとするな。気は力を籠めればうまくいくもんじゃねぇ。自分の中の呼吸と意識を合わせるんだ」
「……意識を合わせる……」
俺はもう一度、気を出す。
深く、長く呼吸をして。
そのリズムに合わせて、体を動かしてみる──
一歩、二歩。
剣を振る──
バシュッ!
光は、剣を振ろうとしたタイミングで俺の体から消えてしまった。
「……惜しいな。あと少しで持続できそうだったが」
「まだ、ダメか……」
額から汗が垂れる。
でも、歩くことはできた。
「だが、上出来だ。気を使う感覚は少しずつ体に馴染ませていけばいい。」
ガルヴィスの言葉に、少しだけ胸が熱くなった。
まだまだだけど、前に進んでいる。
(絶対に使いこなしてやる……!)
そう強く誓いながら、俺はもう一度、気を発現させるのだった。




