18話
次の日の朝、俺はいつもの広場へと急いで向かっていた。
「お、坊主、来たか!」
「今日もよろしく頼む!」
俺が広場についたときにはすでにカルヴィスはいた。
「それじゃあ始めるか。まずは昨日の復習からだな。昨日感じた感覚、今も忘れずに感じられるか?」
俺は目を閉じて昨日感じたあの感覚を思い出す。
体の奥、心臓のあたりにある。ぼんやりとした温かい感覚、生命エネルギーの感覚、その感覚を今も確かに感じることができる。
「ああ、しっかりと感じられる」
「よし、それじゃあ今日は次の段階だ。生命エネルギーを”気”に変換する。」
ガルヴィスは腕を組み、少しだけ表情を引き締める。
「イメージとしては、自分の中にある生命エネルギーを燃やす感覚だ。」
「燃やす……?」
「そうだ。”気”が火、”生命エネルギー”が薪だと思えばわかりやすいか?」
説明を聞き俺はうなずく。
「じゃあ、どうやって火をつけるかだが、自分の意志で念じればいい、『力になれ』ってな。そうすれば生命エネルギーを消費して”気”を発現することができる。まあ、これも結局は感覚を体で覚えるのが一番手っ取り早い、とりあえずやってみろ。」
俺は目を閉じ、心臓付近の暖かい感覚に意識を集中する。
(燃えろ…燃えろ…!燃えろ……!!。俺は──もっと強くなりたい!)
温かな感覚に火を灯すイメージを、必死に思い描く。
(剣士として強くなるために──そして、リディアに追いつくために!)
呼吸が自然と深くなり、意識が一点に集中する。
そして──
……ポッ……。
一瞬、心臓のあたりが熱くなる感覚。
そっと目を開けると──
「……!」
自分の体の周りに、ほんのわずかだが、淡い白い光が揺らめいていた。
「出てるな」
隣でガルヴィスが低くうなずいた。
「それが“気”の発動だ。まだ吹けば飛びそうな小さい火だが、間違いなくお前自身の力だ。まさか一発で成功するとはな、やっぱりお前才能あると思うぜ」
「……やった……!」
声が震えそうになるのを抑えながら、俺は目を見開いた。
「けどな、これで終わりじゃねぇ。ここからが始まりだ」
ガルヴィスは立ち上がり、木剣を肩に担ぐ。
「これからは、“気を扱う技術”を学ぶ段階に入る。
気を体のどこに流すか、どう練り上げるか──その制御を覚えていくんだ」
「……はい!」
俺は力強く返事をした。
感じるだけだった力を“使う”ことができた。
ほんの小さな一歩だ。けれど、この一歩は──俺にとって、どんな宝よりも価値がある。
(これで、俺もようやく──スタートラインに立てた)




