10話
バシッ!!
ロベルトの木剣が、俺の剣とぶつかる。
想像していたよりも、さらに重い一撃だった。
「っ……!」
後退しながら、衝撃を腕で受け流す。
「どうした? もう終わりか?」
「まだまだ!」
すぐに踏み込み、横薙ぎの一撃を繰り出す。
しかし──。
「甘いな」
ロベルトは一歩下がると、簡単にそれを受け流した。
そして、間髪入れずにカウンターの一撃が飛んでくる。
「おっと……!」
咄嗟に木剣を立てて防ぐが、またしても力強い衝撃が腕に伝わる。
さすがに去年の優勝者。
攻撃も防御も、今まで戦ってきた相手とは全然違う。
「すげぇな……でも、絶対負けねぇ!」
俺は再び構え直し、ロベルトとの距離を詰める。
⸻
木剣が交錯する音が響く。
何度も打ち合いを繰り返し、俺は気づいた。
ロベルトは力強い攻撃を得意としているが、それに頼りすぎている。
ならば──。
「ふっ!」
俺はわざと一歩踏み込む。
「もらった!」
ロベルトが、力任せに木剣を振り下ろす。
しかし、それこそが俺の狙いだった。
ヒュンッ!
ロベルトの木剣が俺の頭に当たる直前、俺は素早く横へ転がった。
「なにっ……!?」
ロベルトの体勢が崩れる。
「──ここだ!!」
俺は一気に踏み込むと、ロベルトの胴へと木剣を振り抜いた。
バシッ!!
ドサッ。
ロベルトの木剣が地面に落ちる。
同時に、村人たちの歓声が沸き上がった。
⸻
「勝者──アレン!!」
「やったぁー!!」
リディアの大きな声が聞こえる。
俺は木剣を握りしめながら、勝利の余韻に浸っていた。
ロベルトはしばらく驚いた顔をしていたが、すぐに笑った。
「へへっ……やるじゃねぇか」
「……お前の攻撃、めちゃくちゃ重かった」
「まぁな。でも、お前の方が一枚上手だったってことだ」
ロベルトは悔しそうにしながらも、俺の勝利を認めてくれた。
俺は、剣の競技大会で優勝することができた。
⸻
優勝賞品として、村の長老から木剣が授けられた。
「アレン、おめでとう! これはお前の努力の証だ」
俺は受け取った木剣をじっと見つめた。
今まで使っていたものより、少しだけしっかりした造りの剣。
でも、剣士としての道は、まだまだ始まったばかりだ。
「……ありがとう」
俺は木剣を握りしめながら、もっと強くなりたいと改めて思った。
そして、リディアが横から顔を覗かせる。
「おめでとう、アレン!」
「おう!」
「見応えがあってめちゃくちゃ面白かった!」
...うーん、面白かったというのは喜んでもいいのだろうか?
「そういえば、すごい今更だけどリディアは大会に出なくて良かったのか?お前も今年で8歳だろ?」
「私は見てる方が好きだから参加しなくていいの!
美味しい食べ物食べながら試合観戦するの楽しかった!」
こいつ、観戦中も食べまくってたのか…
「はは!リディアらしいな」
「よし!大会も終わったことだしりんご飴でも食べに行こう!」
「まだ食うのかよ!?」
リディアに腕を引っ張られながら、俺は、いつか本物の剣士になる日を夢見るのだった。




