プロローグ
この物語が、私にとって初めての執筆となります。
拙い部分も多いかと思いますが、少しでも読んでくださる方に楽しんでいただければ幸いです。
夜の闇に包まれた村に、赤子の泣き声が響いた。
「……元気な男の子だ」
助産婦が優しく微笑みながら、生まれたばかりの赤子を母親の腕に抱かせる。
その子は、すでにしっかりとした声で泣いていた。
「アレン……アレン、と名付けよう」
父親がそっとその頭に手を置く。
「……この子が、たくましく育ちますように」
母親は、愛おしそうに息子を見つめた。
――同じ夜、村のはずれで――
冷たい風が吹き荒れる冬の森。
月明かりの下、一人の赤子が泣いていた。
白い布に包まれたその子は、まだ生まれて間もないようだった。
「……赤ん坊?」
通りかかったのは、村の長老──村長だった。
彼は驚きつつも、赤子をそっと抱き上げる。
「誰がこんな場所に……?」
見渡すが、周囲に人影はない。
「捨てられたのか、かわいそうに…」
冬に森でこのままでは赤子が凍えてしまう。
村長は決意し、その子を連れて帰ることにした。
「今日からお前は、わしの娘だ……。名は、リディアとしよう」
この夜、二人の物語が始まった。