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WATER HEART  作者: ふる
第一章 転移
7/9

-戦闘-


アマゾンの中にいるので、獣や化け物への攻撃方法も考える必要がある。

広場の入り口に戻り、近くに生えている木に体から出した水で攻撃できるかどうかを試すことにした。

どうせだから魔法を使うように、台詞付きで使うのがいいかもしれない。


「生えろ…触手!」


右腕に水を纏うイメージを想像し、手、腕全体から水を出す。

腕全体を水が覆い、増えた透明な水が手の先から伸びていく。

右腕だけ海の水に浸かっているような感覚で、重さは全く感じなかった。


そして、右手に出した触手を木に叩きつけてみる。

ドン!と鈍い音を立てて木屑が飛び散る。水の触手で殴った木の皮が剥がれ、表面が抉れていた。

自分の能力で殴り傷つけたことに感動を覚えるものの、どこかで微妙と感じた。


腕から出した水という肉体に影響が出ない状況下で、拳で殴る以上のダメージは与えられている気がするのはメリットではあるが、これでは肉食獣への殺傷能力が足りてない。

そもそも、石を握りつぶせるほど力が強くなっている現在の状態で本気で殴ったらどのくらいになるのか解ってないので、殴った方が木を破壊出来るかもしれない。

触手で殴る場合はこれ以上に勢いをつけても、威力は劇的に変わらない気がする。

先ほど遭遇した化け物を倒すには心許ない。


威力を変更するには触手を大きくするしかないのだろう、

更に水の量を増やせないかと念じてみる。右手から更に水が溢れ出してきた。

どのくらい出るのだろうか、疑問が沸いてでたので

蛇口を捻り出したままで水を止めないイメージを創造する。

いつまで出るのかと思いながら待つと、いつまでも水が出続けている。



「やべえ!とまれ!!」



右腕の先から先ほどの化け物の5倍以上あるかという量の水が空中に球体で生成された。

学校のプールに入っている水の量と同じぐらい出てる気がする。

腕から出ているとてつもない量の水が空中に浮いており、物理的な法則を無視していた。

水の重さを腕に感じなかった。水自体を操っているということなのか。

しかし、これは…この量の水を叩きつけたらどの位の威力になるのだろうか。

肉食獣への抑止力を試してみる必要がある。


ワクワクして疼いている心を隠しながら、頭上に生成された水の塊を木々へと叩きつけた。

ズドーンとガスが爆破したような轟音が鳴り響き、叩きつけたことにより、勢いよく風が発生した。

衝撃で折れた木が前方に吹き飛ばされ、吹き飛ばされた木によって他の木まで半分折れかかっている。

他にも木は三本以上は幹折れしていた。人の手では起こせない惨状が広がっている。

もはや、森の一部を破壊したといっても過言ではなく、一人で広場を拡げていた。



「や、やべえぇ…とんでもない威力だ。

海外のヒーロにでもなった気分だな」



この惨状を引き起こし、森を壊すという悪行を行っていることをわかってはいるが心は踊っていた。

完全に起こした自分の功績に酔いしれて、破壊を続ける準備が満々になっている。

そんな所に何か獣の声が鳴り響いた。



「ベエエエエエブ! ベエエエエ! ベエ!」


「なんだ!?」



後ろを振り向くと、緑藻色の羽を持ったダチョウの様な鳥が三匹、20から30メートル程先からこちらを見て叫んでいた。

その生物を確認すると体は鳥にしては大きく、160センチメートルはあるだろう。

嘴の色は蛍光色の緑、目がワインレッドで猛禽類のような鋭い目つきをしている。

アイツは肉食獣に違いない。鋭い目が示している。


しかも、よく見ると一番奥にいる鳥の嘴が赤黒い。何かを生物を啄んだんだろう。

それを確認した瞬間、戦闘をすると決心し、右手から水を勢いよく溢れさせた。

右腕を水で覆い、いつでも攻撃する準備が完了するとそれを待っていたかのように

三匹の大鳥はこちらに向かって勢いよく駆け出した。



「ベエエエエエブ!ベエエエエエブ!ベエエエエエブ!」



緑に光り輝く嘴を前に突き出しながら、予想以上の速さで近付いてくる。

人の走るスピードではありえない速度で突撃してきた鳥へタイミングを合わせて、

横から腕を勢いよく振り、まるでバットを振るかのように触手で薙ぎ払った。



「オラぁあああああああ!!!」



三匹の内、二匹の大鳥に触手が直撃し、鳥は吹き飛ばされた。ホームランだ。

水の触手が直撃した鳥は見るも無残な姿となっていた。

一匹はボールのように吹き飛ばされ、木が密集した場所へ衝突した。

即死しているのか、声も発さず、微動だにしていない。

二匹目はダチョウのように強靭な足に傷が付いたか、折れているかで転がったまま鳴いている。


そして、三匹目は薙ぎ払いを避けたや否や、勢いよく後ろへ走りだして逃げ出した。

逃がすまいと水の触手を鞭のように伸ばして叩きつけようと思ったが、

走るスピードが速すぎて追いかけられず、そのまま逃がす。

戦闘が終わると怖い位に聞こえた心臓の動機が収まった。



「ダチョウに勝ったか。」



勝利の祝杯をあげたかったが、ここは森の中で何もない。

右手から水を出し、口に当てる。冷たくておいしい。落ち着いた。

頭の中が冷静になり、吹き飛ばした鳥の様子を見に行く。


未だに小さな声で鳴いている大鳥の元へと向かってみると、

緑の体液のようなものが垂れたひん曲がっている片足を懸命に動かそうとしている姿があった。

近付くと赤い目でコチラを睨みつけながら鳴く。キラキラ光る嘴の鋭さに目が行った。

小刀のように鋭く発達しており、大きくて硬そうだ。刺されたら人くらいだったら余裕で死ぬだろう。

大鳥をまじまじと観察していると、小さくこちらを見ながら鳴いた。


「ベエブ…ベェ… (コロス…コロ…)」



その殺意に満ちたか細い鳴き声が聞こえると大鳥の頭を水を放出した。

水で頭を全て覆う。少しすると大鳥がバタバタと溺れた子供のようにに必死に藻掻き始める。

そのまま動かなくなるまで水で覆い続けた。


そして、大鳥が死んだことを確認するともう一体が死んでいるか確認しにいく。

もう一体の鳥は緑の体液が体全体に巻き散らされており、

両足、体、全てがグニャグニャになっており、鳥として生存できない姿であった。


死んでいる。いや、こんな鳥がまた襲い掛かってくると考えたら、

必ず、殺しておいたほうがいい。

寝首をかかれたりしたらコチラがやられるに決まっている。

念の為、こちらの鳥の頭も溺死するまで水で覆った。































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