-Alien-
「生きてる…」
アイツからは逃げ切れたみたいだな。
安堵からか大きな溜め息が漏れ、緊張して凝り固まっていた肩の力が抜けた。
それにしても、あんなデカい化け物から逃げれるくらいに足が速くなってるなんて、俺はおかしい。
走っている時の速度が明らかに人間を超越していた。
高速道路で車を運転している時と同じ景色の流れ方のように思えた。
どうなっているんだ。本当に俺はエイリアンにでもなっているのか。
ふと、足を触ってみると明らかに硬い。鋼のようだ。
逃げているとき、脚がバネに似た筋肉で出来ているかのように感じた。
それなら…体から触手でも出せないだろうか。
そう思って念じてみると、右腕から水が溢れ、水で作られた触手が誕生する。
触手は純粋な水で作成されたかような、澄み切って、透き通った水で出来ていた。
「触手でた!!?」
ハハッ、こんなことがあっていいのか。
左手で頬を弱めに抓ってみるが痛みを感じる。
薄々は気づいていたんだ。エイリアンになっているって、
人間を超越した存在になったってことに
考えることを辞めた俺は触手で遊んでみることにした。
最初に試すのはこの触手水が飲めるかどうかだ。
走って喉がカラカラになっていたので
顔を腕に近づけて、直接触手水を飲んでみた。
「うまい、旨すぎる!!!」
死の瀬戸際、緊張感のある中で走った後ってこともあるが、
今まで飲んだ水の中で最上級の水だと思えた。
これでアマゾンの中でも水分だけは取れるようになったから、もう少し進もう。
◇◇◇◇
少し進むと、前方から明かりが漏れてきた。
森から抜けたのかと思ったが、ただの広場であった。
さらに進むと、広場の模様が確認できた。
寝心地のよさそうな芝のような草が地面には生え盛り、
平たいベッドのような大きな石が主張している。
人工的に作られたかのように平らな石が気になったため、
大きく平らな白い石に座り、休憩することにした。
「あったけぇ…」
服もボロボロで薄暗い森の中をひたすら歩いていたからか、
それとも、化け物にあった疲労感などで体が固まっていたからかはわからない。
理由はわからないが、光に当たっていた石の表面の温かさが寒さで痛んでいた体に染みた。
それにしても、水を出せるようになったからに他のこともできないだろうか。
腕に水を出しながら自分が使える能力について考えてみることにした。